信じるもの【トラファルガー・ロー】 (ページ31)

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ローside

珍しく目覚めがよく、軽く支度を終えた後、広間に向かう。

広間にはA一人だった。挨拶をされるがいつも通り返事で返す。

気まずい、と思っているのはAもなのだろうか。
昨日話せなかったこともある上、一昨日の事はまだ引きずっているままだ。普通通り、なんては行かないだろう。

朝食後はAが出ていったのを見計らい、シャチを連れて俺も出ることとした。

薬草は昨日、採取できたので今日は西のドーリミ街を少し見て回ろうと考えていた。まぁ医学書しか買うつもりは無いのだが。

目的だった医学書をシャチに持たせ、自由行動していいと指示をした。

しばらく一人で街の道を歩いていると、周りとは違う雰囲気で歴史ある店に目が留まる。“雑貨屋コチョウラン”という店だった。

普段なら雑貨屋なんて気になることすら無いが、ここは特別、何かを感じて気になった。

｢最近はお客がよく来るねェ、いらっしゃい｣

奥から出てきた婆さんに俺は小さく会釈をする。

また視線を商品に戻すと、目に留まる物があった。

黒色の紐にゴールドの粒が散りばめられていて、均等な間隔に施されているカルサイト...だろうか、それの小さいビーズが太陽の光を反射させ、より一層自身を輝かせていた。

｢それが気になるのかい？不思議なもんだ｣

｢不思議...？｣

｢あァ、ちょうど一昨日美人なお嬢ちゃんもそのブレスレットを見ていたよ。その女の子とお兄ちゃんは何か合わせるものがあるのかもしれないね｣

...合わせるものか

｢これは2つでセットか？少し違う気もするが｣

｢同じっちゃ同じだけど、違うっちゃ違う、そんな物さ。お兄ちゃんなら1つだけでいいのか、2つの方がいいのか分かると思うよ｣

婆さんが何を言っているかは半分は理解していてもう半分は勘だった。

俺はこのブレスレットを2つ買うことにした。婆さんに言うと、お金は要らない、と言われたが圧が少し感じたので貰っていくことにした。

2つ買った理由は俺にも分からないが、あのブレスレットに婆さんの言葉。

俺はある人物が頭に浮かんだのだ。

その後、シャチと合流し船に戻った。

...今日もAを呼ぶとするか。

俺はブレスレットが入っている袋を落とさないよう大切に持ち帰った。