信じるもの【トラファルガー・ロー】 (ページ30)

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次の日の朝、いつも通り起きて広間に向かう。

今日は私は最初だった。キャプテン起こしの罰ゲームの対象ではないことに少し安心しながらもここで朝ご飯を待つ。

私が座った途端、出入口のドアが開く。私の次に現れたのは...キャプテンだった。

『...おはようございます』

｢...あァ｣

とてつもなく気まずい静かな空気が私をこまらせる。

なにか話題を...？いや、変に話が空回りするよりかは何も話さない方が...

そんな考えを巡らせるが、結局何も口を開けずただ時間が経つのを待つだけだった。

しばらくしてから皆が広間に集まった。本当は数分もしてないのだろうか、私の体感は長い時間だった。

｢キャプテン今日珍しく早くないっすか？｣

｢俺の勝手だ。今日1番遅かったヤツは？｣

｢俺っす｣

｢じゃあシャチ、今日は俺の手となり足となれ｣

｢それってこき使うってことっすよね！？｣

＿＿＿＿

昼。ドーリミ街。

私は今、街の道を歩いている。

｢あ、Aさん！いらしてたんですね｣

『昨日来いって言ったのはスミレさんでしょう？』

｢た、確かに...｣

えへへ、と照れる様子は可愛らしい。と、微笑ましく思っていたらいつの間にか手を引かれ、スミレさんの家に連れ込まれていた。

『立派なお家ですね...』

｢そんなことないです！さ、上がってくださいな！｣

どんどん急かされ、私は彼女の家に足を踏み入れた。

｢お礼を...｣と言っていたので、机には豪華な食事が並んでいた。

申し訳ない！と言ったのだが、押し切られてしまった。押し切りの強さは親子健在だな...

食後のコーヒーも頂き、お話もしたのでとても充実した時間を過ごせたと心が踊っていた。

＿＿＿＿

『本当にありがとうございました』

｢いえいえ、とんでもないですよ！恩人なのですから！｣

『そんな柄じゃないですよ、では私はこれで』

｢はい！さよなら！｣

彼女と別れ帰路を辿る。
今日はお婆さんに会えなかったけど、昨日の事件で怪我はなかったようなので安心した。
ご馳走まで頂いて足取りは軽かった。

でも、

『ブレスレット、無くしちゃったな』

お婆さんを助けに行く前まではあったのだが、今日の朝ないことに気づいた。
実は結構ショックなのだ。あんなに可愛いのそうそう出会えない。

無くなった物は仕方ないと諦めて私は歩を進めた。