信じるもの【トラファルガー・ロー】 (ページ34)

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．ページ34

『何か間違いがあったら言ってください。

貴女は母を殺せなかったのは、心の底から(・・・・・)恨んでいなかったからでは無いですか？
残酷にも親の命を奪う子どもはこの世界には居ないわけではありません。

貴女は先程、母を恨んでいると言いましたが、本当は違いますよね？さっきの言葉に嘘がないなら、昨日の件はもう少し上手く(・・・)やるべきです。

私は生まれつき見聞色の覇気が使う(人の気配を感じる)ことが出来ますが、それ以前に賊の奴らの向かう方向が余りにも分かりやす過ぎました。
今回はそんなに警戒しなくてもいい、とかそんな事を言っていたのでしょう。
子供たちの行方は全く検討も付かなかったみたいでしたので』

｢...私、はあいつを｣

『思っても無いことを言わないで下さい。本当に恨んでいたとしても、貴女には覚悟が足りなかった。親の命を奪うという、ね。
...恨んでいるじゃなくて、“大好き”ですよね？』

｢...ッ｣

彼女の目には先程とは別物の綺麗な涙が浮かんでいた。

『子供たちの記憶を消したのは何故ですか？』

｢親、なんて...最低な、ヤツしか居な、いから...親の記憶を消し、て私みたいな...思いをして欲しくな、くて｣

スミレさんの言葉を遮るように彼女の頬を叩いた人物が現れた。

『...お婆さん』

｢スミレ、ごめんね｣

お婆さんはスミレさんに対して謝罪をした。でも彼女は反抗する。

｢何よ！今更！！お父さんを殺したのはアンタでしょ！｣

｢違うの｣

｢は...？｣

お婆さんは後悔を噛み締めるようにして静かに語り始める。

｢違く、はないわね。実質、私が殺したようなものだもの。

あの日...私は“旅人”と名乗った海賊と話してたのよ。
お店のことをとても気に入ってくれて、少し会話が盛り上がっちゃってね。
その話の流れでお父さんの話になって...今考えてみると、お父さんの命が狙いだったのかもしれないわね。夜、港にお父さんを呼んでくれないかって言われて私は承諾してしまった。
私が海賊だって知ったのはお父さんが殺されてしまった後。こんな救いのない馬鹿が親なんて申し訳ない気持ちでいっぱいだわ｣

お婆さんはキッと視線をスミレさんに向ける。

｢でもね、私はこんな馬鹿者だけど、他の人たちは立派な親子よ。私が悪い事は分かってる、けど、他の子供たちは巻き込まないで｣