今は亡き ページ4
｢おーい！島が見えてきたぞー！！｣
｢んん？あの島の辺りだけだいぶ霧がかってんなァ｣
｢うわ、なんかいかにもって感じ...｣
｢まァ、あの島の別名は“あの世に1番近い島”だもんな｣
＿＿＿＿＿＿
｢この島のログは3日かからないくらいだよ！海域的にも一日中、今みたいに霧がかってるから気をつけてね！｣
新世界のある島についたハートの海賊団。
海から見るといかにも、という雰囲気を漂わせるこの島は、別名“あの世から1番近い島”とも呼ばれていたりする。
ただ、雰囲気だけでそう呼ばれている訳では無い。
実際にこの島には、“あの世”にまつわる様々な逸話があるらしい。
｢ホント、先の方は見えねェな...｣
｢おい！誰か今俺の腕触っただろ！？｣
｢んな訳ねェだろ...気の所為だって...｣
『ばあっ！』
｢｢｢アアアアアア！！？？｣｣｣
｢ふざけんなA！！驚かすのはこの島以外にしてくれよ！！｣
『あはは！みんな怖がりすぎだって〜』
海賊なんてものをやっている者からすると、いつも死とは隣合わせの状況なのだが、この海賊団の大半はこのようなザマであった。
数人を除いては...
｢あまり怖がらせるな...ただでさえ予定が遅れそうなのにアイツらを動けなくしてどうする｣
『あんな風になるとは思わなくて...だってほら、別に廃墟まみれとかではないじゃないですか』
｢あとでAは俺たちの分の酒奢りな！！｣
『え〜！じゃあ飲み比べで私が勝ったら奢ってね！』
｢アイツらに勝ち目ねェだろ...｣
船から出てきたペンギンが呆れたように呟いた。
今回は買い出し担当以外は全員自由となっている。
だが、皆あのように怖がっているので殆どは船に籠り過ごすようだった。
例外の人たちは、各々の道を進んでこの島の濃い霧の中に姿を消していった。
＿＿＿＿＿＿
体感数分しか歩いていないのだが、既に彼女の周りは先程よりも濃い霧で覆われていた。まるで彼女の存在を隠すかのように。
進んで行く路の端には針葉樹が広がっている。
『いかにもな木が生えてる森に...いかにも死んでそうなおじいさん』
｢誰がマ！まだぴちぴちの167歳だマ！｣
見た目は骨が少し浮き出て痩せている老人。健康体の身体では無いことは確かだった。
Aは眉間に皺を寄せ、面倒くさそうなそんな顔をした。
『変なやつ...』
｢変マ！？｣
続く (更新停止中)
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作者名：つんてん | 作成日時：2023年2月27日 21時
