菊花の契り 2 ページ4
連日雨が降る憂いの季節のことでした。
懐かしくもない思い出と苦い記憶を乗せて
傘で跳ね返った雨粒の音が五月蝿く胸に響きました。
｢出会いが美しいとか誰が言った｣
別れる為に逢うならば季節などただ巡れ
成長する為の不条理ならば僕が抱くこの気持ちは何だ。
過ぎない冬はない。
止まない雨もない。明けない夜などない。
けれど
例え夏になって雨が止み何度目かの朝がきても
下らない口約束すら僕等は交わさなかった。
ああ
こんな秘めた想いなど雨が上がれば錆び付いて
そんな簡単だったらいいのに。
君の中で僕は
無情にも色褪せやがては姿を消してゆく。
そういえば天気予報は明日も雨だ。
君は僕を｢友｣と呼ばない
｢絆｣を口にしない。
約束の日までに菊を携えて帰ると
契って発ったその昔の彼が僕は。
｢ちょっとだけ羨ましいよ｣
嗚呼
雨に濡れてもいいから君に逢いたい。
このままでは外に出られなくても。
｢あの人に会いたいから死にたい｣
いつか誰かが口にした言葉の意味が分かった気がした。
************************************
この詩に登場する｢その昔の彼等｣に関しては、上田秋成｢雨月物語｣より｢菊花の契｣を元にしています。
｢菊花の契｣参考にさせて頂いたサイトです。
粗筋が書いてあるので是非読んでみて下さい。
http://kotodama.xn--9oq386cb2a.com/%E8%8F%8A%E8%8A%B1%E3%81%AE%E7%B4%84_%E9%9B%A8%E6%9C%88%E7%89%A9%E8%AA%9E/
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美月 - おもろかったです なんとか全部読ませていただきました 。 もう小説家になってもいいんじゃないのでしょうか？ 応援しています (2020年8月28日 23時) (
レス) id: 6e4bf7a052 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：真葛 | 作成日時：2020年4月16日 23時
