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楓弥side
哲汰君からえい君が家にいると聞き、ルンルンで扉を開け、リビングに直行すると、ひょっこりとえい君が顔を出した。
楓「あ!えい君まだいた!」
永「颯斗寝てるから、シー」
はやちんはえい君を残して、寝落ちてしまっているらしく、えい君にシーっとされてしまった。中に入ってソファの方に目をやると、口を開けて、いびきをかいている兄が目に入り、面白くも、少し恥ずかしくなった。だから後ではやちんに見せようと、何枚か写真に撮っておく。
楓「はやちん起きたらみせよ」
「あ、さっき哲汰君と会ったよー。えい君いるって教えてくれたんだけど一緒だったの?」
永「いや、来たけどすぐ帰ったよ。大した用事じゃないからって。」
本当はある程度気づいてる。今日、はやちんと哲汰君は一緒にいて、何かしらあって解散。そのあとえい君に会って家まで帰ってきたとかだろう。だってさっき会った哲汰君の顔があまりにも悲しげで頭から離れないからだ。
解散した後にはやちんの家に向かったのだろうか。はやちんの目元も少し赤くなってることから多分泣いたんだろう。えい君が哲汰君を追い返したのだろうか。やっぱりえい君もはやちんのこと好きなのだろうか。
少し考えている間にえい君のはやちんを見る目が愛おしそうで確信した。
俺の推しは、好きな人は俺の兄が好きみたいだ。
俺はえい君にとってかわいい弟みたいなもの。その壁は壊せるわけない。
楓「そっか。」
「えい君ってさ。はやちんのこと好きでしょ。」
唐突にそういうと図星だったみたいで少し目を見開く。どうしていままで気付かなかったのか。わかりやすい目をしているのに。
永「あー。バレバレだった?」
楓「いや、そうでも。でも推しのことですからわかるに決まってるでしょ。だてにえい君推してないよ。」
永「そっか。」
楓「はやちん、哲汰君と付き合ってるんだって。」
そうだ。哲汰君と付き合ってる。はやちんは哲汰君が好き。だから諦めてくれなんて思ってしまうのは性格が悪いのだろうか。
永「知ってる。で、別れたって」
知ってたんだ。そのうえで好きで諦めてなかったんだ。もう俺の付け入る隙なんて無い。
楓「え、別れたの?初耳なんだけど。いや、やらかしたって言ってたけどそこまで?」
そのあとのことをすべてえい君から聞いた。本当にこれで全部なのだろうかと、でもえい君の言うことだからと疑心暗鬼になりながら。
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作者名:雪柳 | 作成日時:2024年2月27日 14時