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哲汰side
玄関で気づいたら泣いていた。勝手に涙が流れていた。なんで俺が泣いているのかわからなかった。そもそも俺に泣く資格なんてない。大事なメンバーを傷つけてまでしたことなのに。
明日になれば、多分いつも通りに戻ってる。そう考ええるようにしても、もやもやが晴れずに嫌にまとわりついてくる。
さっきから自問自答を繰り返して、終わりが見えない。ほかに言い方があったのではないか。説明したらよかったのか。いや、余計に傷つけてしまうかもしれない。でも颯斗にとっては俺が突然言い出したことで混乱してしまってるのではないか。
ちゃんと家に帰れてるだろうか。まだ暖かいとしても日が暮れると冷える。もしかしたらまだ公園にいて一人で泣いてるのではないか。不安でいっぱいになり、気づいたら家をとびだしてしまっていた。
会いに行って今更何を言えばいいのかなんてわからずにただひたすらに目的地に向かう。しかし、公園にはもういなかった。当たり前だ。颯斗と別れて時間もたち、日が暮れかかっているのでは、もう帰っているのかもしれない。
そのまま颯斗の家に向かうことにした。追い返されるだろうか。それともなんだかんだ中に入れて話を聞いてくれるだろうか。
そうこう考えているうちに扉の前まで来てしまった。勇気を出してチャイムを押すと返事が返ってきて颯斗ではないことがすぐにわかると同時に、聞き覚えのある声で動揺してしまった。
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作者名:雪柳 | 作成日時:2024年2月27日 14時