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永玖side
颯斗がシャワーに行ってる間にお湯を沸かしていると流し場に二つのコップがあるのが目に入る。今日哲汰が来ていたのだろうか。まあ、付き合ってるなら来てもおかしくはないけど、そんなことを考えて勝手に傷ついて馬鹿だな。
もともと二人は仲いいし、俺が付け入る隙間なんてないと思ってた。この友達の関係が続きさえすれば満足で、欲張らないようにしてたのに。もし二人が別れたのならなんて最低なこと考えてしまう。
ピンポーン
と、チャイムが鳴った。誰だろう。颯斗は今シャワー中だし、俺が勝手に出ていいのだろうか。居留守は相手に迷惑だし。
永「はい。、え?」
目の前には哲汰がいた。なんで、ここにいるんだ?哲汰もまさか俺がいるとは思わなかったようで目を見開いている。
哲「えいく?」
永「颯斗に用事?今、シャワー浴びてるから中で待つ?」
なんて心にもないことを聞く。本当はかえってほしいなんて思いながら。
哲「いや、急ぎじゃないし、やっぱいいわ。」
永「そ?それなら別にいいけど」
急ぎじゃないなんて絶対嘘。だったら何で家まで来たんだよ。颯斗を泣かせておいて、なんて。自分の素の性格の悪さに嫌気がさす。
哲「じゃ、明日ね」
永「あ、哲汰。あのさ…」
「颯斗のこと好きなのお前だけじゃないから。」
「また明日。」
こんなこと言うつもりじゃなかったのに。あんな公開告白みたいなこと。最後に何か言いたげな顔してたけど完全に逃げてしまった。俺完全にヒーローとヒロインを邪魔する悪者じゃんなんて今考えても仕方ない。
発言は取り消せないし何より、言って少しすっきりしてしまった。カチッとお湯が沸いた音がしたのでキッチンに戻るとちょうど颯斗が戻ってきた。
颯「ごめん、何だった?」
絶対に哲太が来たなんて言えない。しかも宣戦布告みたいなことまでしたことも。お湯を粉末の入ったカップに入れながら答える。
永「いや、なんでもなかったよ。ただの宗教勧誘」
颯「そ?あ、あとで楓弥来る。」
適当にごまかしてしまったけど。ばれる様子はない。むしろ疑ってないって大丈夫だろうか。そのうち高いツボとか買わされるのではと心配になる。半地下でも宗教勧誘とか来るのだろうか。
永「お、会うの久々。はいこれ。できた」
颯「ありがと」
二人してソファに腰掛ける。
永「で?どうしたの?」
好きな人の恋愛事情とか聞きたくない。なんてわがまま許して欲しい。
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作者名:雪柳 | 作成日時:2024年2月27日 14時