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永玖side
最近平気になってきた一人でする買い物。いつもメンバーの誰かと一緒に買い物に行くから一人は寂しい。そう思いながら帰っていると見慣れた後姿が目に入ってうれしくなる。
俺の昔から大好きな人。独り占めしたいけどそれはかなわないと知ってるから、ただ仲いい友達の関係のままでいたいと欲張ってしまう。
何してるんだろうとわくわくで近づいていくと肩が震えているのが見えた。泣いているのかそれとも寒いのかなんてすぐわかる。
永「はやとー?」
上着をその背中にかけて震えが収まるようにやさしくなでる。なんで泣いてるのか気になるけど、あまり詮索しない方がいいだろう。
永「どしたん?目腫れちゃうよ?」
「明日も撮影だし、風邪ひくから帰ろう?」
颯「俺、、酷いこと、した」
「ずっと、甘え続けて」
「もう、俺のことなんて、きらいに、 、なっちゃったかも」
「撮影なのはわかってるけど、、行かないとだめって、わかってるけど」
「行きたくない。」
「えいく、どうしよう」
他のメンバーと何かあったのか、と思うけど多分哲汰絡みだ。颯斗が哲汰を好きなのは前から知ってた。ずっと近くで見てきたから。
2か月くらい前から二人の空気が少し変わって、付き合ったんだと理解した。悔しかったけど、それで颯斗が幸せならうれしかった。哲汰に向ける幸せそうな笑顔が俺にとって何よりも痛かった。
どうしよう。こんな状況なのに俺に弱みを見せてくれて、頼ってくれてうれしいなんて、俺はおかしいのだろうか。ずっと前から一緒に活動してきてめったに見せない姿に心臓がはねる。つい、抱きしめてしまった。
永「一回落ち着いて。家まで送るから、中で話聞かせてよ」
「目、冷やしながら。ゆっくりでいいから」
どれだけ長い時間ここにいたのか、体が冷たくて驚きを隠せない。颯斗は傷ついてるのに、弱みに付け込むなんて卑怯かもしれない。でもこのまま哲汰なんて諦めて俺を好きになってくれたらいいのにな。なんて叶うわけもないのに。
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作者名:雪柳 | 作成日時:2024年2月27日 14時