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颯斗side
ふられた。前からある程度気づいていたのにそれに蓋をして逃げていた。考えないように、幸せだった時のままでいたかったのに失敗してしまった。
明日は昼からの撮影だから午前中のうちから哲汰と顔を合わせる。俺はいつも通り振舞えるのだろうか。哲汰はいつものように笑いかけてくれるだろうか。
このギクシャクするような空気をメンバーに感じさせないように、迷惑にならないように、いつも通りの仲のいい俺たちをみせられるだろうか。
不安と寂しさが一気に押し寄せてどうしようもない気持ちになる。地面に落ちてしまったカーディガンを拾い上げると、まだ残ってる哲汰の体温が恋しい。
今すぐにでも会いたくて、ふられたとしてもまだ好きな気持ちは変わることない。俺の気持ちはただの独りよがりで、わがままで、最悪なのかもしれない。
こんな気持ちになるくらいなら好きにならない方がよかったんだ。本当はあきらめたくない。でも諦めたらこの苦しさから解放されるはず。
そう思ったところで簡単に気持ちは切り替えられなくて、こんなに傷ついても好きで仕方ない。なんでふられたのかなんて明白で傷ついてるのは哲汰だって同じはずなのに。
本当に俺は
颯「最悪だ、」
静かに目から涙がこぼれる。周りの物珍しいような視線なんてどうでもいい。ただこの整理しきれずにごちゃごちゃな気持ちを吐き出せればそれでいい。。
時間がたって、思いっきりカーディガンを抱きしめても、もう温もりなんて残っていない。寂しい。今はもう誰でもいいから抱きしめてほしい。大丈夫って慰めてほしい。一人にしないでほしい。
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作者名:雪柳 | 作成日時:2024年2月27日 14時