東海地方で恋をした② (ページ8)

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【緑】ページ8

side：としみつ

最近Aの様子がおかしい気がする。
いや、気のせいかもしれんけど。

ため息が多かったり、ご飯あんま食べてなかったり。こないだ皆で呑みに行った時も、普段呑まんこいつから誘われたし、ハイペースで呑んでたし。そういやA痩せたような、というかやつれた？

と「なぁ、A痩せた？」

「えっ、あっ、そうだね、少し」

なんでそんなキョドッてんだよ。
何かあったんだろうか。

俺はりょうみたいに、オブラートに包んで聞いてやったりとか出来んから直接聞くしかない。

と「何かあった？」

「いや…何も！」

なんでそんな無理やり作ったみたいな笑顔なんだよ
そんな顔させたくなくて、でもどうすれば良いか分からんくて、俺はAを抱きしめた。

「っ…！としくん…？」

と「そんな無理して笑わんで良い。今俺ら以外買い出し行ってておらんし、泣いてもいいんだげ？」

「…うっ、うぅ…」

そう言ったらこいつは声を抑えた泣き出した。
まじで何があったんだ、こいつが泣くくらいなんて。普段人前で涙を流さないこいつが泣くなんて。

こいつはひとしきり泣いた後、

「いや～、泣いちゃった！笑
としくん、服濡れちゃったね、ごめん！」

なんて、言った

と「いや、それは別にいい。というか、ほんとに何も無いのか？」

「…うん」

と「まじで、やばくなりそうだったら絶対言えよ？」

「分かった！」

こいつの中でまだ俺に言いたくないらしい。
中学の頃からずっと一緒なのに、まだそこまで気を許されてないのだろうか。
こいつだけは泣かせたくない、心の底から笑っていて欲しい。

わしゃわしゃと、こいつの頭を撫でると

「ふふっ、なんかとしくんイケメンみたい笑」

と、茶化してきやがった。

と「は？！俺はいつだってイケメンだら？」

「確かに、そうだね？笑」

一応落ち着いたのか、その後は辛い顔を見せなかった。

でも、今思えば、この時にちゃんと聞いておけば良かったんだ。
そしたら、こいつをあんな辛い目に遭わせることは無かったのに。