二十六話 ページ30
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NOside
Aの過去の話を聞いたあとの車内の空気は、これまで田中が味わったことのないほどの気まずさだった。
ちなみに運転は行きは鶴蝶だったのに対し、帰りは海斗。事故らないように、という言葉を呪いのように頭で唱えている。()
「…Aに、あんな過去があったなんてな」
ボソリと、でも、聞き取りやすい声で九井が呟いた。
大切な人を失う悲しさは、九井には痛いほど分かるのだ。九井も、同じ経験をしたからこそ分かる傷だった。
彼女を憐れむのと同時に、自分達がすぐに虜になった白鳥Aにあそこまで想われている男を妬ましく思った。
まだAには会わせていないが、きっと明司も気に入り、娘のように可愛がるだろう。
「田中、テメェはAの好きなやつ知ってんじゃねぇのかよ」
三途がいつもより静かな声で田中に話かける。
「そうっすね」
いつも通りの台詞の筈なのに、その声には、悲しさが籠っているようだった。
何かと感情に敏感な周りの連中達は、他に声をかけられずにいた。
いつもなら、その男について問い詰めていただろう。だが、首領であるマイキーも、人を失う悲しさは理解している。それが理由だからかは分からないが、何も問い詰めなかった。
だが田中は何かを決めたのか、一息ついた。その後ろ姿は、裏から幹部を支える、いつもの田中海斗の姿だった。
信号が赤になったとき、田中は自分のスマホを操作する。
そして自分の座席の後ろに座っていた九井にスマホを渡した。
「は？これ、テメェじゃねぇか」
「何がしてぇの？」
その写真の感想を言ったのは、九井ではなく、九井の横に座っていたであろう灰谷兄弟だった。
Aの愛する男への嫉妬心で若干イラついている灰谷兄弟は、田中にそういう。
だが九井も灰谷兄弟と思っていることは同じなようで、口出しはしなかった。望月や鶴蝶、マイキーとその写真を見つめるが、やはり全員の思考は同じだったようだ。
幹部達の視線が、田中の背中に突き刺さる。
「(八つ当たりじゃねぇか)」
そんな上司たちに呆れつつも、田中は言葉を続ける。
「そいつ、俺の双子の兄です」
＿その日初めて、幹部たち(マイキー含める)は自分達に殺されそうになり、声にならない叫びをあげる男達の思考を理解したらしい。
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ミルクティー - 泣いていたことを分かってたのかって夢主が海斗に電話をかけるシーン「優翔」ではなく「海斗」じゃないですか？ (4月5日 11時) (
レス) @page37 id: 12753137d6 (このIDを非表示/違反報告)
林檎飴玉 - 舞香さん» すいません…、作品名教えてもらっていいですか、？(( (8月10日 2時) (レス) id: 9f1f8db22f (このIDを非表示/違反報告)
林檎飴玉 - 舞香さん» たくさんのコメントありがとうございます！！舞香さんの作品、覗かせてもらいますね！！！ (8月10日 2時) (レス) @page21 id: 9f1f8db22f (このIDを非表示/違反報告)
舞香 - またまたコメントさせていただきますっ！！今回の話も面白いですねっ！私も小説書いてるんですけど、林檎飴玉さんみたいにうまく書けないです！！もしアドバイスとかあればお願いします！今回も神作品ありがとうございます！ (8月10日 0時) (レス) @page21 id: d458a1be93 (このIDを非表示/違反報告)
林檎飴玉 - 舞香さん» ありがとうございます！！楽しんでもらえるようにこれからも頑張ります☆ (8月9日 17時) (レス) @page20 id: 9f1f8db22f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：林檎飴玉 | 作成日時：2023年8月1日 0時
