第七十話 やくそく ページ33
嫌な光景を見たあと、急に意識が浮上して
頬から首にかけて冷たい汗が滴る。
動悸も早く、酸素が異常なくらい足りていないようで酸素を取り込もうと肩で息をしていた。
目の前が少し揺れているように見えたが、私を焦った様にそれだけではなく心配する顔をした鶴が居た。
「主、俺がわかるか？」
「……びっくり落とし穴爺ちゃん」
「はは、まったく驚かせてくれるなぁ、きみは…」
「主、だいじょうぶ？」
「弥勒様…」
鶴の他に清光と五虎退が泣きそうな顔で私を見ていた。
その少し後ろに薬研が居た。なんだかどこかスッキリしたような顔をしていた。
何があったかはわからないが、まあ良かったな。と思い、手に布の感触がした。
「……これ」
「あんたが気を失ったあと、あの
その時にあんたがずっと握ってたんだよ、薬研は私の顔を見て話す。
……おっと、これはどういう心境の変化だろうか。あんなに刺々としていたのに。
「……まあ、なんだ、今まで悪かったな。弥勒」
「…いや、別に気にしてない」
「俺たちの知らない内になんか和解してるな君ら、まあそれはそれで良い」
本霊は、私にあるものを渡すために待っていた。って言っていた。
それがこの布ならば、これはいったいなんだろうか。
そして今まで忘れていた祖父との約束を思い出した。
祖父は私に何かを渡そうとしていた。
それがこれなら、私は祖父との約束を果たした。という事だ。
ただし、これがなんなのか私は解らない。
何も知らない、知らされていない。
────約束を忘れていた事にも腹が立ったが、〝何も知らない〟というのはさらに腹ただしい。
「……鶴」
「ん？」
「帰ろう、訊かなきゃいけない事が山ほど出来た」
───この出来事は始まりであり、偶然ではない。
『───言葉を操る者に、我が加護あらん事を』
土地神は、そう言って彼女達を見送った。
＿＿＿＿＿＿
一応これで薬研編終わりです…
すげー時間かかった…、予定の話の展開が狂ってこんなのろのろしましたが無事終わって何よりです。
次は山姥切国広&物吉貞宗編……、入る前にちょっと薬研編で出た伏線を拾う為、巳狐編を書いていきます。今思えば僕伏線をチラつかせるという行為ではなく晒すしかしてない気が……、ヘタクソですいません。
あと終わり方がもはやフラグでしかない…
いや、フラグ建てるのがノルマやし…(意味不)
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