第六十五話 焼け朽ちた柄 ページ28
それは面白いことを聞いた。
〝焼け朽ちた刀の柄〟とは…
ハナさんにちょっと確認取ろうかな。
しかし、今ハナさんは寝ている。
流石に敷地内を勝手に出歩く事はしたくない。
かと言って見に行きたい、という欲が無いとは言ってはいない。
うぅむ…、どうしようか……。
「モノオキゴヤに行きたいの？」
どうするか悶々としていると、清光と女子トークなるものを話していたとされる
ことちゃんが話しかけてきた。
…なんというか、不思議な子だな。
「なら、行けばいいよ！」
「簡単に言ってくれるな君…」
「院長先生なら許してくれるよ！ だって、院長先生はやさしーもん！」
「……なら、ことちゃんの言葉を信じて行ってみようか。」
倉庫へ
＊＊＊
倉庫へやってくると、如何にも何か出ますよ〜という雰囲気の蔵だった。
……この孤児院、蔵だけが新品同然ってどういうこっちゃ
せめてさ、崩れ落ちそうなとこだけ補強なりなんなりしようよ…
いや、資金が足りないんなら仕方ないが。
ていうか、鍵掛かっているというのにどう入れと？
「…俺がこの蔵の鍵を持ってる。」
「…〝薬研藤四郎〟か解らないよ？ それに今現在は君の本霊は───」
「俺だって刀の付喪神だ、刀の柄でも同族は気になる。」
「それだけには見えないけど…、解ったよ。開けて貰えるか」
蔵へ来たのは私と薬研藤四郎だけ。
他の皆には子供達の面倒を見てもらっている。
鶴と清光が一緒に行くと言ってきた時は冷や汗をかいた。
理由は二つほどある。
一つはどうしても、自分の目で見たくなった。
もう一つは明神家にも一振りだけ、刀がある。
しかし、どこにあるか解らない。
元々、祖父の持ち物だ。祖父はからくりや謎解きが好きな人で
いつも謎解きを考えては家中巻き込んで宝探しを開催していた。
その時に隠したのが、その家宝である
結局誰も見つけることが出来ず、祖父は死んだ。
祖父は死ぬ前に遺言を残した。
一言だけ、誰に向けての言葉かは誰にもわからない。
〝言葉を届けしものに我が宝を〟
「──開いたぞ」
「！ …解った、今行く。」
二つ目の理由になぜ明神家の家宝が絡んでいるか。
ずっと気になっていた。
何故私の母はここの院長と知り合いなのか。
母は、予知夢の体質だ。
そして、その子供である私達にも何かしらの力がある筈なのだ。
＿＿
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