第五十七話 保護と引き留めるの違い ページ20
「───で、アンタ達、反省はしたかい？」
「……」
「……」
ハナさん、強し。
それしか言えない、あと鶴。
ポンポンしないで刺激しないで痛い。
だいたい、打たれたことも無ければ拳骨喰らった覚えもない。
「それより薬研、ちゃんとお礼言ったかい？」
「？」
「……」
「その様子じゃあ、まだなんだね？ 全く、少しは素直になりな。アンタの弟を保護してくれたンだろ？」
保護、というかなんというか…
五虎退は確かにうちで預かってるが、出て行く権利は彼次第、だからなぁ…
けど、鶴の陰った瞳と薬研の闇に染まった瞳、清光の行き過ぎた承認欲求……
相当惨いところなのは変わりないだろう。
それでも五虎退が戻りたい理由は────
「おい、人間」
「？」
「Aだろ！ 此処でひねくれをこじらせるんじゃない！」
……まるで田舎暮らしの親子みたいだな。
「……五虎退を保護してくれてありがとう」
「…別に、保護と言うより……」
「？」
五虎退の方を見て、私は薄く笑った気がした。
兄弟、ねぇ…
───羨ましい
「え…」
「鶴、そういえば君、織田にも居たことがあるんだろう？」
「ん、まあな。それがどうかしたのかい？」
「…いや、ちょっと気になっただけ。」
「？」
「転勤族も大変だな」
「だから！ 俺は！好きで転勤してないって！ 言ってるだろう！？」
「ははは」
「わらって誤魔化すなよきみ！」
保護というより、迷いを見たから引き留めた。
……が、正しいかな。
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