刀剣男士に誘拐されました。

40 ページ41

「思ったんですが…貴方
小夜君が言う、苦しんでいるようには見えません
ピンピンしてるじゃないですか」

初対面の人に毒を吐けるくらい


「だから僕は帰れと言ったのです
見ての通り…傷一つありません」

袖を捲り腕を見せるお兄さん

『綺麗な腕ですね。白くて細い…』

触れたら折れてしまいそう



「でも…兄様…」


小夜くんは何か言いたそうだった


「小夜が気にすることではありません
僕は元気ですから」

小夜くんの頭を撫でるお兄さん

「僕に構っている暇があるなら
江雪兄様を助けてください…」


江雪兄様…

もう1人お兄さんが…？

「江雪兄様は僕と違って瀕死の状態ですから」


『その…江雪さんという方は
どちらにいらっしゃるのですか？』


「ぼくしってます」


お兄さんが口を開く前に
今剣さんが知っていると答えた


「そこに岩融もいますから…」


岩融…ってどこかで聞いた名前


…そうか

今剣さんとジャンケンをした時に
話していた子だ


瀕死の江雪さんと一緒にいるということは

もしかしたら
岩融さんも瀕死の状態なのでは…？


『行きましょう。今剣さん案内お願いします
小夜くんはお兄さんとここで待っていてください
必ず江雪さんを連れて戻ってきます』

「うん、分かった。待ってる」

小夜くんと指切りげんまんをして
私はこの部屋を後にした




「…お人好しですね」


「うん」


「あの人なら僕の心も解かしてくれるでしょうか」


静かに自身の肩を撫でた宗三左文字


「…兄様」


兄の心の蟠りに気付いていた小夜左文字は
何も言えず




声を殺し泣いていた

41→←39

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す