いずれ地獄でお会いしましょう【へし切長谷部】

突飛 ページ37

長谷部side

なんとか
突然現れた検非違使を
倒せたものの

体力に限界がきている

「大丈夫ですか？長谷部殿」

このままでは折れても可笑しくはない

「あぁ…なんとか」

この場合、隊長は
帰城を促すだろう

しかしそれは、普通の隊長であればの話だ

「長谷部君本当に大丈夫？」


今はこいつが隊長


信用ならん


「貴様…っ」

大丈夫なんて思ってもいないくせに

「これは…っ！！！」

「どうしたんだ？石切丸」

何を感じとったのか
急に焦りだす石切丸

「主がこちらに来ている！！」


主が…？


「どういうことだ石切丸」


「空を見てごらん、時空の歪みが見える
そしてこの霊力…
主がこちらに来ているに違いない」


言われた通り空を見上げると
そこには歪みがあり、光が差し込んでいた


「なぜ…主が？」

こんな敵だらけの地で
主が狙われたら大変だ

一刻も早く
本丸へ帰さないと

「主も馬鹿だね…そう思わない？長谷部君」

「まさか…貴様っ」

くすくすと笑う光忠


「これを狙っていたのか？」

ここに検非違使がいることも知っていて
かつ俺とこいつの練度の差は大きい

俺を折るつもりだったのだろう

「まぁ…主がこっちに来ることは
予想外だったけどね」


じゃあ…なぜ主は…？


『長谷部…っ酷い怪我だね
ごめんなさい…私のせいで』

主が到着し
俺の前に来て謝る

「なぜ主が謝るんですか…」

『私がきちんと敵の情報を
把握していなかったからです』

あぁ、きっと検非違使のことだろう

「主、ここは危ない。すぐに帰り給へ」

「そうだな…主が死なれちゃ困る」

『でも…！』


帰ろうとしない主


「近くに敵がいます。皆さんご準備を
長谷部殿は主殿を守ってくだされ」


「わかった。主、こっちです」

木の陰へ主を連れて行き
俺は奴らの姿を見送った

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