鶴の兄様

三十九話 ページ45

『平和だ…』

一人で縁側に座って燭台切から作りすぎたともらったずんだ餅を食べている

鶯丸は遠征、弟たちは出陣、大将は珍しく仕事終わらせてる

『……ん？』

手に違和感を感じそちらを見ると五後退の小虎たち

一匹が俺の手に頭を擦りつけ撫でろと要求してくる

『ははは、よ〜しよしどうしたんだ？五後退と一緒にいなくていいのか？』

何て言いながら優しく撫でてやる

小虎は気をよくしたのか喉を鳴らす

他の小虎たちは俺の膝に乗ったり、体を擦り付けたりと様々な行動をしている

特に悪い気はしなかったのでしばらくその状態のままいた

大倶利「・・・」

『おっ、伽羅君じゃないか』

気配があり見てみるとこっちを見つめていた伽羅君

声をかけると少し嫌そうな顔をされた

大倶利「馴れ合うつもりはない」

『あ、伽羅君も食べるか？多くて処理に困ってるんだ』

大倶利「だから、馴れ合うつもりは…」

『食うよな…？』

にっこりと笑みを浮かべ言うと観念したのか伽羅君は俺の隣に腰を下ろした

すると俺の膝に乗っていた小虎の一匹が伽羅君の膝に移った

伽羅君も小虎を撫でる

『こうして話すのは初めてだな』

大倶利「お前のことは光忠や貞から聞いてる、鶴丸は毎日のように話してる」

『へぇ…まぁ一応、俺は狼牙国永だ宜しくな伽羅君』

大倶利「…大倶利伽羅だ、馴れ合うつもりはない」

『俺の隣に座った時点で俺と馴れ合ってるけどな〜』

そう言うと立って何処かに行こうとするが、俺が手首を掴みそうはさせなかった

敵わないと分かったのかまた大人しく腰を下ろす

大倶利「馬鹿力…！」

『はいはい…ん、食えよ』

ずんだ餅が乗っている皿を差し出す

大倶利は素直にずんだ餅を手に取り口に運んだ

俺が『茶はいるか？』と問うと「あぁ…」と返事が返ってきた

鶴丸が言っていた通り素直な奴じゃないか

その後いろいろな話をした

昔の持ち主の事だとか、燭台切や太鼓鐘の事だとか…様々なことを話してくれた

『伊達政宗がお前らの持ち主だったのか』

大倶利「あぁ、お前は…」

『俺はその時代だと織田信長公だな…政宗公に会った事はないが話くらいなら聞いた』

伽羅君とその後も話していたがこの暖かい気温だ眠気が誘って来た

お互い段々と口数が減っていった

会話がなくなり欠伸をし伽羅君を見ると寝ていた

不安定な体制で寝ていたため俺は自分の肩に伽羅君の頭を乗せた

俺は俺で伽羅君の頭に寄りかかり眠りについた



鶴丸 燭台切「何アレ尊い…」

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