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カルテ46. ページ5

「では彼方さん、カテーテルを入れていくので、感覚がなくなるまで手を握っていてください。」

「…分かりました。」


英語はさっぱり分からないけれど、予め日本人の医者を連れてきてくれていたらしい。

そのお陰で、多少のぎこちなさはあれど、ある程度の会話は成立している。

あの病院でずっと過ごしてきていたせいで、ここに慣れるのには随分と時間が掛かりそうな気がする。


 ……みんなに会いたい、なぁ。









「志麻くんって、マンセイスイエン、でしたっけ?」

「おん。この年やと珍しいらしいんやけど、よお分からん。」



A先生が意識を失ってから、ずっと誰もが気分が落ち込んでいた。

それはもちろん当たり前で、辛いことなんだな、と考えたりもする。



ここ2,3日、志麻くんは腹痛がしているようで、食事制限を設けられていた。

治療方法がそれしかないらしい。




「いつ、僕たちは退院するんでしょうね。」

「さあな。…センラは退院したいが?」



彼が何年か前まで住んでいたという土佐の言葉。

知り合ったばかりの時は、彼の第一印象も相まって、怖いという印象でしかなかった。

けれど、今はそれが、心地いいと感じてしまう。



「したいけど、したない、かな。」

「分かる。俺もそうやし。」



しばらくの沈黙。

互いに何も話さないけれど、その時間こそが大事だったりもする。



「…まふ君と俺が一番早そうって聞いたことあるんやけど。」

「そう、なんや。」



残酷な話だと思う。

きっと志麻くんは、口ではああいっていたけれど、退院したいという気持ちが勝っている。

心から退院したいけどしたくない、と中途半端に言った俺の方が早いのかもしれない、なんて。


高知に残してきた友達がいる、と聞いたことがあった。

ずっと別居してきた両親がこっちにいる、ということも聞いた。


俺が、志麻くんならよかったのに。








「ごめんなぁ。」









  -----------



そらるさん視点と、センラさん視点でした!

どうでしたか?ぜひとも感想をお願いします!!




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sake - 話、最高すぎます! 感激です。病気に関しても本当にあるものを使っていて、クオリティが高いなって思います。いつでも占ツクに帰って来てください。私は待ってます。 (2022年1月30日 1時) (レス) @page13 id: bea98890ed (このIDを非表示/違反報告)
凍華@ラ(プロフ) - あげもち☆さん» ありがとうございます…!! (2021年1月10日 16時) (レス) id: dc626b6004 (このIDを非表示/違反報告)
あげもち☆(プロフ) - とっても面白いです!これからも応援しています!勉強頑張って下さい! (2021年1月9日 16時) (レス) id: 943d9c8138 (このIDを非表示/違反報告)
凍華(プロフ) - まこでーす!さん» 全然大丈夫です!お気遣いありがとうございます…!! (2020年11月27日 23時) (レス) id: c3f81e4fc6 (このIDを非表示/違反報告)
まこでーす! - 間違えました。ごめんなさい。無理をしてまで更新をしないでくださいね!作者さんが第一ですから!追記勉強はお菓子を食べながらするとはかどりますよ!後もしさっきの間違えで傷ついたらごめんなさい (2020年11月27日 21時) (レス) id: aefe40f8eb (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:凍華@ラ | 作成日時:2020年6月30日 22時

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