小児科病棟の日常【浦島坂田船】【ATR】

カルテ２９．　　リクエスト２ ページ33

※諸事情により、luzさんは登場しません。ご了承ください。




今日も全員体調は良好。そして院内学級に誰も来ない、ということで、

「じゃあ、院内学級また行く？前はうらたくん来れなかったし。」

と私は６人に言ってみた。
６人の反応は良くて、じゃあ１時から、ご飯ちゃんと食べたらいいよ、と言うと、１２時半には全員完食していた。







院内学級にはピアノが備え付けられている。６人は音楽が好きなようで、毎度毎度ピアノの前に集まるのだ。
この病院の院内学級、というのは名前だけのもので、先生が訪問してくれる本当の院内学級、所謂『病弱・身体虚弱特別支援学級』ではない。

「今日何歌う？」
「えーっと、じゃあうらたさんが歌いたいやつにしようよ！」

その代わりなのか何なのか、防音スペースになっており、子供たちが五月蠅い、とは誰も言わないので、この院内学級もどきは何時まで経ってもなくなりはしないのである。
体力やその他もろもろを考えて、こちらがストップを１時間ほどでかけるようにして、彼等の体調を維持している。

「次何がいい？」
「じゃあまふがピアノ弾いて、そらるさん歌ってよ。」
「「え？」」

この６人の中で唯一ピアノが弾けるのはまふまふ。そして彼のピアノに一番合う歌い方ができるのはそらるだった。きっとお互いのことを一番よく知っているから、そしてまず相性がいいから。



「やっぱりまふくんとそらるさんって合うんよなぁ…。」
「あと上手さの次元が違う。」
「分かる。」





ー同じ空を見ては、２人で躓いて。


ー同じ夢を見たら、友達になろう。









ストップをかけると、少し不満そうな６人。それでもちゃんとやめて、勉強道具を広げるのだから、本当に偉い。
何年も彼らの勉強道具を見続けていると、段々と大人になっているのが分かる。




ー彼らは本当に社会に出て、こうして勉強した成果を感じられるのだろうか。




分からん、と呟きながらもセンラに教えてもらいながら諦めることなく勉強を続ける坂田を見て、何か勇気をもらったような気がした。









ー私が、彼らの将来を作るんだ。



ー私が、彼らに将来を、夢を、希望を戻すんだ。









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人というのは、いつ死ぬか分からない、脆い存在です。

それを念頭に置きながら、この作品をお読みください。



サクさん、リクエストありがとうございました。まだ足りない場合はまたコメントしてください。

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