小児科病棟の日常【浦島坂田船】【ATR】

カルテ２５． ページ28

一条、というのは、この病院と提携している製薬会社の社長一族のことらしい。
製薬会社だけではなく、多方面からも攻めているので、マルチな会社としても有名なのだそうだ。よくよく考えたら、私の使っているペンの製造会社もITCHIJOUとか書いてあった気がする。
そのご子息の入院は大体１１時らしいので、それまでに伝えておかなければ、と３０２号室に向かった。









今日は運よく全員の体調は良好だった。
今しかない、と私は腹をくくって口を開いた。


「あのね、みんな聞いてほしいの。」


そう言うと、みんな集まってくる。志麻の表情が陰っているのが、今から言うことを知っているかのように感じた。




「明日来る予定だった患者さん、今日来るみたいなの。」




「だから、報告しに来た。」




志麻以外のみんなが彼の方を向く。彼は顔を下げ、誰にも見せないようにしていた。
それでも、小さな啜り泣きは、隠すことはできない。





「志麻ちん、いいんだよ、顔下げなくて。」

「志麻くん、」









「だいじょうぶ。頑張る言うたから、昨日。」









涙を拭いて、彼が上げた顔の表情は、すっきりしていた。









志麻以外の５人は他の子供にほとんど会ったことがないので、緊張している。
それが分かった私はただただ彼らの話し相手、遊び相手になって緊張を少しでもほぐしていた。


そして、ドアがノックされた。




病室が一気にシンと静まった。






走る緊張。








「一条さんが入院される病室ですよ。」









カラカラと車椅子の音が鳴り、









「これから一緒に住む一条光輝やけど。みんなにはluzって呼ばれてるからそう呼んで！タメ口でええで！」









日本人離れした顔立ちの爽やかイケメンが入ってきた。









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莉杏さん、リクエストありがとうございました！！



あと、アンケートを取ろうかな、と思っていることがひとつあるので、もし取ることにしたら再度お知らせいたします。更新は随時チェックです！！







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