カルテ22. ページ24
点滴を見るとあと数分、というところまできていたので、2人の腕に刺さっている針を抜いて、消毒と絆創膏を貼ってやる。あれから一度起きてからそらるは耐えきれずに嘔吐してしまっていたのと、まふまふが言っていたことを考えると、彼にとっては少し強めの薬だったのかもしれない。
「どう、2人とも?」
そう聞くと2人共もう大丈夫らしい。ちょうど副作用の波が収まっていたところらしかった。
他の4人も体調は悪くないようで、2対2に分かれて病室に備え付けてあるテレビでス○ブラをしていた。
対戦が終わったのを見計らって、私はみんなに声を掛けた。
「ちょっと聞いてほしいことがあるの。」
そう言えば、ゲーム機を置いてこちらにみんな寄って来てくれた。
「明後日からこの部屋に1人新しい患者が来ることになりました。」
病室は基本6人部屋なのだが、この6人を分けてしまうと、精神的に負担がかかる可能性がある。それを考慮して、特例で7人で暮らすことを許されたのだ。
……ただ、1つ問題があった。
「志麻くん、大丈夫そうかな?」
彼は人見知りで、対人恐怖症すらあるという診断がなされている。この6人の中で、一番馴染めていないのも彼だ。
「…大丈夫、やと思う。」
そう言ってはいるが、手が微かに震えているのを、私は見逃さなかった。否、私だけじゃなくて、ここにいる子供たちみんなも。
「まーしぃ、嘘言わへんの。」
「そうだぞ。怖いんだろ?」
「別にそんなことで離れていくわけやないんやし。」
うらた、坂田、センラの3人が志麻の手をそっと握った。そらるとまふまふは、そんな4人を静かに見守っている。
「誰も迷惑だなんて思ってないから、遠慮なく言ってほしいな。」
「…怖い。」
「うん。」
ーみんなにきらわれるのがコワイ。
「怖い…、けど、」
ーみんなにみはなされるのがコワイ。それでも、
「…頑張ってみる。だから、
一緒にずっとおってほしい。」
彼は乗り越えようとしている。
過去の自分も、過去の記憶も。
○○○○
きっと大丈夫。
貴方を支えてくれる友達は、近くにいなくても、
どこかに絶対に存在するはずだから。
だから、どうか塞ぎ込んで、一人で苦しまないで。
○○○○
----------
最後の〇で囲まれた部分は小説の中だけに限った話ではありません。
(続きます。)
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凍華(プロフ) - 村さん» ありがとうございます!私病院とかよく分かってない状態で書いてるんですけど…そう言ってもらえて嬉しいです! (2020年9月11日 0時) (レス) id: c3f81e4fc6 (このIDを非表示/違反報告)
村 - 400票を401票にしてしまった罪悪感...読み始めたばかりですが応援してます!お忙しかったらお返事は大丈夫です!ストーリーがホントに大好きです!小児科ではないけど医療目指してるので確かにって思うことたくさんありましたwこれからたくさん読ませていただきます! (2020年9月10日 18時) (レス) id: c1b5418976 (このIDを非表示/違反報告)
みるくプリン(プロフ) - 凍華@ラさん» いえいえ、物凄くお待たせしてしまったのでコメントくらいさせて頂きます!それと、読んで下さってありがとうございます! (2020年7月13日 17時) (レス) id: 7db76bcf0c (このIDを非表示/違反報告)
凍華@ラ(プロフ) - みるくプリンさん» ありがとうございます!!見させていただきましたよ、通知が来たので!わざわざコメント、そして高評価まで、本当にありがとうございます! (2020年7月13日 17時) (レス) id: 960374666f (このIDを非表示/違反報告)
みるくプリン(プロフ) - お待たせしてしまい申し訳ありません!【続編】イベント参加者様の作品をアドバイスさせて下さい! と言う作品に書かせて頂きました。見て頂けたら嬉しいです。それと右の☆をポチらせて頂きました。 (2020年7月13日 15時) (レス) id: 7db76bcf0c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:凍華@ラ | 作成日時:2020年2月24日 15時