カルテ１． ページ3
この病院には外科、内科、整形外科、産婦人科、精神科などたくさんの受診科がある。私は、その中で小児科に勤務している。
この病院の小児科を受診してくる子供は、大体が大きな病気に罹っている。総合病院の中でも大きい方に入るこの病院だからこそなのだろう。
私が担当を受け持っているのは、３０２号室の子供たち、計６人だ。
「入るよ。」
ノックをしてから病室に入ると、６人中２人だけが起きていた。
子供らしい顔つきで、好き放題に跳ねる赤髪を揺らして笑っているのは坂田。
坂田の話し相手になっているのは白髪に綺麗な赤い目、いわゆるアルビノであるまふまふ。
「さかたん、まふくん、おはよ。」
他の４人を起こさないように小声で言うと、元気な声でおはよう、と返ってくる。
私が声を小さくした意味がない…ｗ
朝の健診の時間なので、仕方なくみんなを起こす。
「じゃあ、いつもよりちょっと起きるのが遅かったうらたくんとセンラくんからね。」
いつもは健診前に起きている二人がさっきまで寝ていた、ということは調子が悪い可能性がある。
うらた以外の５人に体温計を渡し、うらたの座るベッドに腰掛けた。
「うらたくん、胸の音聴くねー。」
聴診器をその薄い体に当てると、かすかに雑音が聞こえてきた。
「ちょっと苦しいかな？」
「ちょっとだけね。」
大丈夫だよ、と微笑む彼が無理をしている様子はないので、とりあえず一安心。
悪化するといけないのでテープを貼って、吸入器もテーブルに置いておく。
らたに体温計を手渡し、他５人の体温をメモしていく。そのうちうらたも体温を測り終わったようで、差し出してきた機械に示された数字をメモ。全員今日は平熱だ。
「センラくん、志麻くん、そらるさん、あとさかたん、今日どう？」
「今日は全然大丈夫ですよ、A先生。」
「俺もー。」
「強いて言うならまだ眠いくらいかな。」
通常運転の３人と、
「俺も元気やで！」
ほらほら、と必死に元気アピールをしてくる坂田。手をぶんぶん振ってめっちゃ元気！という彼を宥める。きっとおまけみたいに扱われて嫌だったんだろうと容易に想像できる。
「あんまりはしゃぐとしんどくなるよ。」
何かあったらナースコール押すんだよ、と言えば分かってまーす、とバラバラな返事が返ってきた。
小児科のデスクにいるからね、と言って、私は３０２号室を出た。
ーこの子達がこれからも健康でありますように。
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凍華(プロフ) - 村さん» ありがとうございます！私病院とかよく分かってない状態で書いてるんですけど…そう言ってもらえて嬉しいです！ (2020年9月11日 0時) (
レス) id: c3f81e4fc6 (このIDを非表示/違反報告)
村 - 400票を401票にしてしまった罪悪感...読み始めたばかりですが応援してます！お忙しかったらお返事は大丈夫です！ストーリーがホントに大好きです！小児科ではないけど医療目指してるので確かにって思うことたくさんありましたｗこれからたくさん読ませていただきます！ (2020年9月10日 18時) (レス) id: c1b5418976 (このIDを非表示/違反報告)
みるくプリン(プロフ) - 凍華＠ラさん» いえいえ、物凄くお待たせしてしまったのでコメントくらいさせて頂きます！それと、読んで下さってありがとうございます！ (2020年7月13日 17時) (レス) id: 7db76bcf0c (このIDを非表示/違反報告)
凍華＠ラ(プロフ) - みるくプリンさん» ありがとうございます！！見させていただきましたよ、通知が来たので！わざわざコメント、そして高評価まで、本当にありがとうございます！ (2020年7月13日 17時) (レス) id: 960374666f (このIDを非表示/違反報告)
みるくプリン(プロフ) - お待たせしてしまい申し訳ありません！【続編】イベント参加者様の作品をアドバイスさせて下さい！ と言う作品に書かせて頂きました。見て頂けたら嬉しいです。それと右の☆をポチらせて頂きました。 (2020年7月13日 15時) (レス) id: 7db76bcf0c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：凍華＠ラ | 作成日時：2020年2月24日 15時
