小児科病棟の日常【浦島坂田船】【ATR】

カルテ１５． ページ17

最近寝ていなかった日が思っていた以上に多かったらしく、天月先生が仮眠室を出ていってからの記憶はなかった。
天月先生が２時間でタイマーをセットしてくれていたようで、ちゃんと２時間きっちりに起きることができた。あとで何か奢ってあげようかな。






仮眠室を出て３０２号室に入ると、そこには６人以外に、天月先生もいた。

「あ、Aせんせー来た。」

志麻がそう言うと、全員がこっちを見てくる。

「え、何？」

と聞くが、誰も答えてくれない。
すると、天月先生が小声で

(すみません、先生のこと、言っちゃいました。)

と申し訳なさそうに言ってきた。
これはどうすればいいものか、と頭を捻らせる。もうそろそろまふまふの検査の時間なのだ。
切り出し方が分からずにいたその時、

「あ、そろそろ僕の検査の時間じゃないですか？」

とまふまふが言った。



あとでまふまふのお願いを一つ聞いてあげようと私が思ったのは、内緒。









まふまふを車椅子に乗せ、拷問部屋から脱出した私達は脳神経外科に向かっていた。

「ねえ、先生。」
「ん、何？」

「もう、大丈夫なの？」
「うん、そうじゃないと来てないよ。」



また沈黙。



「ねえ、先生。」
「ん、何？」

こっちを向くことなくまふまふは私に問うた。

「今日は、何するの？」
「CT検査だよ。それだけじゃないけど、メインはそれかな。」
「・・そっか。」









患者は毎日不安を抱えて生きている。
今日、明日、明後日、それより先、自分はいつまで生きていられるのか。
検査の結果について、つまり自分の余命。
私達医師は、そんな患者の不安を取り除くのも仕事だから。






ーだからどうか、そんな悲しそうな顔をしないで。









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　 ☆内頚動脈狭窄症とは☆
内頚動脈(心臓から脳に栄養を送る血管)が狭くなる病気のこと。 狭くなると、脳への血流が低下して、脳梗塞や一過性脳虚血発作を起こしやすくなる。血管が細くなっている場合は脳梗塞の危険性が高くなるので、治療が必要。薬によっての治療が行われることが多い。また、狭窄が重症な場合は手術やカテーテル治療が行われる。

※脳梗塞や一過性脳虚血発作が起きたときの主な症状
・片方の手や足が動かしづらい
・言葉がしゃべりづらい
・片方の眼が一時的に見えなくなる、または視野の一部が黒くなる(一過性黒内障)


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