うちの青江は、自慢の青江 『にっかり青江』

主の事情と青江 ページ38

その後、箱の事は気になったものの２人の怪談のおかげで、忘れていた。
それが、良かったか、悪かったのかは分からない。

怪談が一通り終わり、１１時頃就寝したのだが……。

２時に何やら物音がして、起きてしまった。
いや、物音というより、声だ。唸っているような。そんな声。

(貴)２人とも、起きて!!!

(兄)？なんだぁ？

(錦)うーん……。？おい、何か聞こえないか？

(兄)え、あ、待って、聞こえる←

ｳﾞｳﾞｳﾞゥゥゥ

ｶﾞﾀｯ……ｶﾞﾀｯ

(錦)近づいてきてる！？

(貴)何処にいるの！？

グワァァァァァァ！！！！！

(兄)！？させるかぁぁぁぁ！！！！

ビシャッ

(貴)え……？

目に見えたのは兄の体から出る赤。
そう、血だ。


バタッ
(貴)お兄ちゃん！！！！

(錦)こっちだ！！！もののけ！！！！

パカッ

グワァァァァァァ！！！！

錦君が箱を開くと化け物は吸い込まれた。
あの箱は、あれを封じ込めるためのものだったのだ。

(貴)お兄ちゃん！！！！

(兄)良く聞け……俺は、もう、長くない……だから最後は……お前に……格好良い所見せて……ｹﾞﾎｯ……死にたい……ｶﾊｯ……ﾊｧﾊｧ……。

(錦)救急車呼んだぞ！！！

(貴)死ぬなんて言わないで！！！生きてよ！

うちは、赤く染まっていた。
兄の血で。それでも、かまわない。生きてもらいたくて、必死だった。

(兄)最後まで、いや、最期まで……付き合ってくれてありがとうな……。

(貴)！？お兄ちゃん！ねえ、目を覚ましてよ！！

(錦)おい、従妹を置いていくのかよ！！戻ってこい！！！

その後、救急車が来たがもう、手遅れだった。
兄は原因不明の死を遂げたことになった。
だが、ほとんどうちが殺したも同然だった。
箱を持って帰らなければ……行くのを反対してれば……。

錦君は、気にしてはいけないと、寄り添ってくれた。
きっと、あいつなら会いに来てくれるからって……。


あの箱はちゃんと、お祓いをしてもらったので手元にはない。
だが、夢に出てくるんだ。
兄の血で赤く染まる自分。あの化け物。兄の死に顔。

それからだった。幽霊をはっきり見るようになったのは……。
だから、兄に会えるのではないのかと期待した。

……だが、兄は来なかった。
そうだよなぁ。自分を殺したも同然の相手に会いに来るわけないもんな。

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