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「だっておまえさっき、ナミのこと手当してたろ！」
見ず知らずの相手によ、手当したからお前は良い奴だ！
太陽のように笑う彼の顔に思わずAは絆されそうになる。
「ナミ……さん？誰でしょうか」
「ナミはナミだ！オレンジの髪でよ」
安直なジェスチャーをしてる彼に少し顔が綻んで、Aは口元に手を当てる。
ルフィは長い髪の毛を表すように手を動かしている。
「……ああ！水着を着てた人ですか？」
「そうだ！」
「別に怪我した人を少し気にかけるくらいどうってことないと思うんですけど……。
それに、手当てって言っても絆創膏貼っただけなんですよ」
そりゃあ海賊からしたら他人を助けるなんて行為中々しないんだろうけど、
と皮肉めいた悪態をつきそうになったがやめた。
Aは戦闘能力がないため逆上されるのも怖いので、強い言葉を使って話せないのだ。
「ちょっとルフィ！怖がってるでしょ！」
後ろからルフィを制止する手と声が伸びてきた。
先程会話に出た「ナミさん」という女性が怒った顔をしている。
「あのねえ、アンタには分からないでしょうけど、
海賊って言うのは大悪党だから普通の女の子が勧誘されて
二つ返事でなりたいって答えるわけないのよ！
それにアンタは今は懸賞金だって高いんだから
怖がられてるに決まってんでしょ！」
ガミガミとナミはルフィを説教している。
その空気にAはすっかり取り残されていた。
「そんなに褒めんなよ〜」
「はあ！？……逆にどの辺が褒められてると思ったのよ」
ナミは嬉しそうにするルフィを不可解なものを見るような目で見たあと、
好奇心のままに訊いてみた。
「だって懸賞金が高いって言っただろ」
「それに喜ぶのはアンタたちくらいよ！
一般人からしたら懸賞金が高いのは悪いことなんだから！」
ナミの説教を真面目に聞いているルフィに、
Aはおかしくて少し笑ってしまった。
「あははっ……」
「そうだ、うちのバカがすみませんね。
……あっ！あなた昼間の！」
ありがとう、とナミは絆創膏にはられた手を見せながら言った。
「いえ、大したことでもないので」
Aが謙遜すると、ルフィはまた口角を大きくあげて笑った。
「ほらナミ、こいつ良い奴なんだ！」
仲間にしよう！とキラキラした目で彼はナミを説得しようとする。
「この子嫌がってるって言ってんでしょ！」
ナミの拳骨がルフィ目掛けて炸裂した様子を、
Aは心配そうに見つめていた。
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作者名：二段ベッド | 作成日時：2022年10月1日 23時
