ありがとうそしてさようなら (ページ4)

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事件2 ページ4

大貴side

ﾄﾞﾝｯﾄﾞﾝｯﾄﾞﾝｯﾄﾞﾝｯ……

Aの声が聞こえた瞬間、体に衝撃が走った。どうやらAに押されて倒されたみたい。

彼女はメンバーを次々と押し倒して行った。最後の一人を押し倒した瞬間……

ﾄﾞﾝｯﾊﾞﾝｯ

機材が落ちた音とファンの悲鳴。どちらが先だったかなんてわからない。

けれど、機材の下に人影が見えた。それは、さっきまで俺らのそばで笑ってた人と同じシルエットで、俺らと同じ衣装を身にまとっていた。

だが、それをAと認知するのに、そう時間はかからなかった。

山「A!!」

Aは間に合わず、機材の破片が足に刺さっていた。刺さっている部分からは赤い液体が溢れ出ている。挙げ句の果てに頭を強くうち、意識も失っていた。

ス「皆さん！！慌てず、落ち着いて逃げてください！！」

スタッフの叫び声。それが耳から耳へと抜けていく。

外のサイレン、人々の泣き叫ぶ声、メンバーの声、何もかもが入ってこなく、頭の中には音の無い世界だけが刻々と時間を刻んでいた。

？「……ちゃん！大ちゃん！！」

大「知……念…？」

知「しっかりして！」

知念の俺を呼ぶ声で俺は我に返った。

今祈るのは……

Aの無事、ただそれだけであった。