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別れを告げようと決めたある日、私と謙杜くんはカラオケボックスの中に入った。
「何歌う？」
呑気に聞く謙杜。
そうやってヘラヘラして私が何も見透かしてないとでも思っているのだろうか？
「ねえ、謙杜くん話があるの」
「え？何？急にどうしたの？」
「浮気してるの？」
「えっ！してないよ」
「でも、この前女の子と二人で歩いてたじゃん。授業中に2人で仲良さそうに話してたじゃん」
「美世のこと？ってかなんでA知ってんの！おかしくない！？」
「認めるんだ」
「みっ認めるけど。こないだっていつか分かんないけど、美世と話しながら受けてたことは認める。ごめん。でなんで知ってるの？それだけ教えて」
「忍び込んだの。謙杜が浮気してるんじゃないかって心配で」
「えっ！？俺が！？すると思う？」
「うん」
「する訳ないやん。手出して」
私は謙杜に言われるがまま手を出す。
「不安にさせてごめんな」
そう言って彼は私の手に箱を置く。
「なに？これ」
「開けてみて」
すると出てきたのは
「あ、可愛い！しかもティファニーって高かったでしょ？どうしたの？こんなの」
私の手にはティファニーの可愛らしいネックレスが置かれていたのだ。
「アルバイトした初任給で買ったんだ。大学生って高校生より人付き合いどうのってなって女子と飲まないといけないとかっていうのがどうしても出来てくる。お金とか物で丸め込む話じゃないのも分かってる。多分Aが見たのって美世と買い物に行った日だよな？黙って二人で買い物に行ってホントにごめん。でも、Aいつも一生懸命に頑張ってて、受験もあるから応援したくて。美世も一つ下の後輩と付き合ってるんだ。だから二人で初任給持って好きな人にプレゼントしようって」
謙杜くんは私が思っていた以上にこの環境のことを気にかけてくれていた。
それがすごく、凄く嬉しくて。
「疑ってごめんなさい。ありがとう」
「しゃあないよ、疑われても。でも、今度から気をつける！これからも一緒に頑張ろな」
「うん」
初めてのお給料を彼女のために使える彼氏なんて早々いない。
私は彼を彼氏にして良かったなと心から思ったし、これからもついて行こうと思った。
END
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作者名：きい
| 作成日時：2020年4月22日 23時
