4 ページ26
「何これ、うっま」
僕の名前は佐野晶哉、れっきとした売れっ子小説家だ。
新しく編集担当になった柊さんは元カノの顔にソックリ。
僕、売れっ子だけどずっと担当が松若さんで沢山支えて貰った分編集担当を変えて欲しくなくて歳下だけは辞めてくださいとお願いをしてきた。
せめて、担当が男だったら、、、、、。
彼女はとにかく料理が上手かった。
そして玄関までしか入れない俺に毎日手紙を添えていた。
そこには僕の小説の感想だったり、料理のレシピ、小説のネタになりそうな恋愛の話など様々毎日手書きで書かれていた。
その彼女のマメさにそっくりの元カノとは違う人間性を感じ、ビックリするほど文学が好きなんだなと感じることができ、分かりあってやっていけると感じた。
でも、僕が厳しくせずに彼女に寄り添うとダメになるのではないかとも感じてしまった。
それでも彼女の手料理は食べたかったのでどうにかして引き留めようと考えた。
「先生、お疲れ様です。講談社の柊です」
「あ、柊か。開ける」
「先生、今日のお昼ご飯です。原稿の進み具合いかがですか？」
「うん、なんとなく構想はあるんだ。もうちょっと時間くれ。ありがとな」
「はい、じゃあそれでは失礼します」
さあ俺のお昼ご飯がやってきた。
開けるとそこにはロールキャベツ。
そして今日もメッセージが添えられていた。
8月26日月曜日
先生、お疲れ様です。
今日はドルマというトルコ料理を作りました。
ロールキャベツだと思いましたよね、騙してすみません(笑)
ドルマはブドウの葉で肉や野菜や米などを包んで煮込むトルコでも人気のある料理です。
これがヨーロッパに伝わり、形を変えながら変化していったものがロールキャベツです。
じゃあ今日は私の元カレの話をしますね。
高校1年生の頃付き合った彼氏がいます。その人は野球部で佐野先生に顔が凄く似てたんですよ。もう、先生を初めて見た時はビックリして。その彼と思い出はあるんですけど、別れたのが彼の浮気でした。しかも、私の親友と浮気ですよ？もう、思い出したくもありません。でも、私は彼と付き合ってよかったなと思います。だって浮気されてこんちくしょー！って思えなかったら素直にダイエット頑張って綺麗になろうとかもっといい男と付き合おうとかって思えないじゃないですか。あの時があったから今があるんだと思えたら私はいいかなって思ってます。
先生、小説の参考になりましたか？
今日もいい一日をお過ごしください。
柊A
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 118人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：きい
| 作成日時：2020年4月22日 23時
