1口目 ページ2
「あのね、あのね、とろろき君。知ってる？」
「……轟だ」
少女は無垢な瞳を少年に向けた。
少年、轟焦凍。轟はAの舌っ足らずな名前の呼び方に不信感を抱いたが、それどころではない。
なぜなら今は戦闘訓練。
オールマイトによる、初めてのヒーロー基礎学での、実戦だからだ。
轟は3対2のハンデ付きの戦いの中、自身の強力な個性で相手の動きを封じ、まさに今、勝利を手にしようとした瞬間だった。
「私の個性は【完食】って言ってね、何でも食べちゃうの。とろろき君の氷でも、機械でも、何でもだよ」
Aは感情を感じさせない一定の声色で話し続ける。
Aの今の言葉で轟は全てを察した。
つまりこの少女は今―――………
「いただきまーす」
己の創り出した氷を、食べ尽くすつもりでいるのだと。
Aはしゃがみこんで氷にかじり付き、小さな身体からは想像出来ないぐらいの勢いで音を立てつつ食べ始めた。
その様子を唖然と眺める轟とその他クラスメイト。彼女の個性上、個性テストでは見られなかったからだ。
それでも彼女は最下位を免れていた。素の身体能力も高いのだと、周りは感心していた。
「……んー、食べる用には、少し固い」
Aは己の戦闘服のポーチから、角砂糖を取り出した。
彼女にとって最も恐るべきなのは空腹。
空腹時の彼女はもはや悪鬼の如く暴れ尽くす。
それを防ぐために、常にポケットやポーチには食べ物が入っている。
今回は、味を変えて楽しむためのものとして使うのであろう。みぞれ風に。
それからものの数十秒も経たないうちに、彼女は自身の動きを封じていた氷を食べ尽くしていた。
「ごちそーさまでした」
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誰が母さんじゃ - 太陽食べてみたい(( (2020年6月11日 20時) (
レス) id: 2636f3ba20 (このIDを非表示/違反報告)
トロン(プロフ) - らぎのさん» え、え、え、ありがとうございます……！何かこちらこそありがとうございます状態です(？)更新頑張ります！ (2017年9月18日 7時) (レス) id: d88c8a2e5b (このIDを非表示/違反報告)
らぎの - 好きって言うかすきです。ありがとうございます大好きです。これからも頑張ってくださいな。 (2017年9月17日 23時) (レス) id: 195fbdfa3d (このIDを非表示/違反報告)
トロン(プロフ) - ユキさん» 競わないけど食べます(タイトル詐欺)ね！←ついつい笑ってしまいました！wありがとうございます！シリアスをぶち壊していく、いやシリアスすらも食べ尽くす天然シリアスクラッシャーこと大喰ちゃんの活躍に乞うご期待下さい……！！ (2017年9月13日 18時) (レス) id: d88c8a2e5b (このIDを非表示/違反報告)
ユキ - なるほど、フードファイターって食べて悪い奴と戦うことだったんですね…てっきり食べて競う奴かと思ってました← という冗談はさておき、とても面白いですね…! (2017年9月13日 18時) (レス) id: 8e5b33dcd8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：トロン | 作成日時：2017年9月7日 22時
