8.『同じなようで違って』 ページ8
その言葉に一同が驚き、こちらを見た。
セーニャ「口説く…?こ、告白するんですか?!」
シルビア「あらやだ、違うわよ。この子の歌声聞こえたでしょ?私気に入っちゃったから旅先でも聞きたいって思って誘ってるのよ」
そういうと、こちらを見てウインクした。
確かに今は裏方はしていないからってのはわかる…しかし。
「あなた方にご迷惑がかかるので、ご遠慮しておきます」
シルビア「それって夢?」
「夢…に近い事かな」
シルビア「じゃあ、尚更いっしょに叶えましょう」
「え?」
シルビア「私の夢は世界中の人たちを笑顔にするために旅芸人やってるの」
驚いて唖然としていると笑顔で続けた。
シルビア「アタシの夢は世界中の人が幸せにならなきゃ叶わない。きっと周りからすれば途方のない夢。だから現実にしてみせる!…似てると思うんだけど違ったかしら?」
ぶっ飛んだ発想に私は笑いを堪えきれず吹き出した。
「ふっ…ははは!!全く似てねえっての!あんた面白いな〜」
シルビア「!意外と豪快に笑うのね」
「あんたこそ、男らしい手してるくせにすごい女らしいじゃん」
カミュ「あー二人で盛り上がってるところ悪いんだが、とりあえず、キャンプ入ろうぜ?」
すでに他の人たちは女神像近くのキャンプで野営の準備をしていた。
どうやら例の王子がバテてここで野営を決めたらしい。
それからシルビアと一緒にいた彼らと話していると、カミュの話にオーブや虹色の枝…次第に聞いていて楽しくなっていた。
カミュ「あんたの話もなかなかだなあ」
「ありがとう、最近はこの竪琴を見つけてね」
竪琴の話に反応したセーニャがこちらにやってきた。
セーニャ「そういえば、ここにくる時、聴こえていましたね!貴方も弾くんですか?」
「あ、ああ。と言うと君も?」
彼女はうなづいて、綺麗な竪琴を取り出した。
爪弾き奏で始めるととても優しい音色が落ちてくる、だけど、どこかもの悲しげで。
セーニャ曰く、故郷の恋唄だとか。
セーニャ「貴方が弾いていたのはどこで聞かれた唄なのですか?」
「あれは、私が作った曲だ」
シルビア「アナタが作った曲なの!?」
セーニャが驚くより先にシルビアが驚いていた。
セーニャ「凄いです!私もいつか作ってみたいですわ!」
シルビア「聞いててすごくよかったから元々あるものだと思っていたわ…凄い才能じゃない!」
褒められ慣れてない私には二人の言葉だけで息が止まりそうだった。
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作者名:トラ若 | 作成日時:2020年4月10日 0時