5.『お気に入りの裏方ちゃん』 ページ5
今日は、サマディーに来ていたサーカス団ちゃんたちと一緒にショーをすることになった。
団長ちゃんにも挨拶が終わって、今日使う物を見に行くと、すでに準備されていた。
ほかの子たちのもしっかり準備されていて驚いた。
近くに団員ちゃんに聞くと、どうやら裏方の子がいつも用意してくれるらしく、今は点検に行ってるって教えてくれた。
舞台の中央で修理する青年の姿があった。
髪色はベースは黒っぽいが、光に当たると少し赤みのある色。
濃い緑の丈の長い羽織が特徴的、顔が気になって声をかけたら…
「うわあ!!」
驚かせてしまったらしく、足にトンカチが落ちてしまったみたい。
声かけをしながら手を差し伸べると、裏方ちゃんはその手を取った。
手袋越しでもわかるのは、その人の優しさ。
手は乗っているがほとんど自分の力で立ち上がっていた。
裏方ちゃんに色々他愛ない話をしたり聞いたりし、別れた後下準備を始めた。
念入りに確認していてもさっきの裏方ちゃんのことが気にかかった。
何か、自分と似たものを感じた。
信念のある人…かもしれない、それか何か夢を追う人なのか。
そして、ショーが始まった。ちゃんと裏方ちゃんもみてくれてたみたいで大満足。
そういえば、あの後ろ姿…
シルビア「確かこの国の…」
考え事をしていると、どこからか綺麗な楽器の音が聞こえてきた。
歓声の中でも楽器の音がよく聞こえ、その音色に誘われ近づくと次第に途切れ途切れだが、幽かに鼻歌が聞こえた。
その音を奏でていた正体は…あの裏方ちゃんだった。
綺麗なテノールに近い鼻歌と竪琴の音色が美しく調律していた。
3人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:トラ若 | 作成日時:2020年4月10日 0時