待ちぼうけ (ページ34)

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34話ページ34

貴方side

「実はこの3人、初めてではないんです。」

思い出すのは1年ほど前のこと。

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大学を卒業して大手企業の受付をしていた私は、会社で働いている方たちはもちろん外部の方とも接することがあり、言葉遣いや立ち振る舞いなどにすごく気を使っている日々だった。

受付嬢のことを気にかける人はほとんどいなかったけど、ただ1人私のことをよく気にかけてくれる人がいた。

『倉科さん、そんなに気張らなくて大丈夫だよ。いつも会社の顔として頑張ってくれてありがとう』

その人は30代後半の男性社員。

左薬指には指輪が光っていた。

「ありがとうございます。これからも頑張ります！」

『うん。素敵な笑顔だね、今日も頑張れるよ』

…だから。

結婚してるって分かってたし、かなり年上だったから優しい会社の人だなあってくらいにしか思ってなかったの。

いつも私に話しかけては頭を撫でて行く人。

スキンシップは気になるけど、優しさからの行動なんだろうなって。

この時はそう思ってた。