待ちぼうけ (ページ19)

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19話ページ19

グラスを拭いてるAさんを驚かせないようにゆっくり声をかけた。

北「あの、Aさん」

俺が声をかけるとふわっと笑って振り返った

「北人さん！どうされました？」

きっとAさんはお客さんとしてしか見てないと思うけど。

…俺はAさんに恋に落ちそうなんです。

なんて言ったらどんな反応するかな

北「俺、このお店めっちゃ好きになりました」

「それはすごく嬉しいです。ありがとうございます」

北「それはAさんがいるからで。Aさんのいるこの空間が好きなんです。」

「え、あ、お店のことですよね！ちょっと照れちゃいました笑」

ちょっと攻めたことを言ったつもりだったんだけど、Aさんはうまくかわしてくる。

…だめだ、もっとわかりやすく伝えないと

北「Aさんがいるからです。

俺、もっとAさんのこと知りたいです。

Aさんにも、俺のこと少しずつでいいので知って欲しいです」

そういうと、俺の言葉の意味を察したのか顔がどんどん赤くなっていく。

「あ、あの…なんと答えればいいのか」

赤い顔をしながら戸惑っているAさんはすごく可愛い。

小動物みたいで抱きしめたくなる。

…そんな気持ちは押し殺して

北「ごめんなさい、急に辺なこと言っちゃって。無理に答えなくていいので。」

なかなか言葉が出てこないAさんを急かすつもりはない。

よく知らない男から変なことを言われたら怖いに決まってる。

そう思ったのに。

「いえ、違うんです！その、なんて答えればいいのかっていうのも違くて…」

そこまで言って一度止まると、深呼吸をしてから俺を見つめた

「…私も、知りたいと思ってました。北人さんのこと。」