倫也さん。

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『流星…？』


「あ、…ごめん、冷てぇよな」


『大丈夫だよ。あ、いいものあげる』


「ん？」



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そういえば、ポッケの中に…。

着ているコートのポッケの中に

手を入れて、中のものを出す。



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『ほら、いいもの』


「…カイロ？」


『そう！まぁ、持ってると思うけど

私が１日中暖めてたからすっごくあったかいよ』



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私の頬から手を離した流星に

握らせる。



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「ほんとだ、俺が持ってるのよりあったかい」


『ふふっ、でしょ？』


「じゃあ、はい。交換」


『え…？』



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流星も着ている上着のポッケから

カイロを出して、私に握らせる。


正直、流星にあげたカイロしか
持ってなかったから、ちょっとラッキー。



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『ありがと、あったかい』


「あ、A、カイロ貸して」


『ん？せっかく、くれたのに？』


「ちゃんとあげるから、ちょっとだけ」


『はーい』



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大人しくカイロを渡すと

もう片方のポッケからマッキーを出して、

カイロになにか書いてる。


カイロに落書き…？



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「はい、改めてあげる」


『…可愛い、ありがと』



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カイロを見てみると

可愛らしい猫の絵と

"A、ふぁいと"の文字。


なんか、こういうの高校生の頃とかに

友達とふざけてやったな。



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『お礼に私も書いてあげる』



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流星からカイロをもらって、

下手っぴながらも
ちゃんと分かるように、
耳が大きめのうさぎちゃんと

"無敵ピンク" "きらきら流星"って、
ちょっとふざけてみた。



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「あ、ふざけた」


『え？バレた？』


「まぁ、でも、嬉しい。ありがと」


『ぁ…、どういたしまして…』



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嬉しそうに笑ってる流星の後ろに

深田さんと楽しそうに話してる

倫也さんを見つけてしまった…。



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倫也さん、すっごく楽しそう…。


なんだろ、ちょっとだけ、ほんのちょっとだけ

もやもやする。



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