○ ページ24
.
『もﾞーーーーーーッッ！！！ムカつく、ムカつくわ！！』
あれから数日後、叫びながらソファに飛び込むA様の姿があった。
数時間前、ダンスレッスンがある前は機嫌が良かったのだが、一体何があったのだろうか。
まふ「どうなさいましたか？」
少しでも機嫌が良くなるようにと、ティーセットを用意しながらA様に問いかける。すると、彼女はバッと起き上がり、早口でまくしたてた。
『家庭教師よ、家庭教師！あの女、私のステップが下手ならハッキリ言えばいいのに……じゃなくて！！』
まふ「落ち着いてください、お嬢様」
『……ふぅ。あの女、お母様のことを馬鹿にしたの！』
どうぞ。と淹れたての紅茶を渡すと、素直に受け取って口をつけた。そう思えば、再び始まる愚痴大会。
『私のステップを見てなんて言ったと思う？「お嬢様は異国の血が流れているからでしょうか。独特な動きをなさるのですね」「なんて自信のないダンスでしょう。きっと、お母様もお嬢様のダンスのような性格だったのでしょうね」って！！信じられないわ！！！』
まふ「わぁお……」
先日からA様にダンスを教えている教師の真似をして、怒りを露わにするお嬢様。ボクも思わず、驚愕の声が漏れた。
『お母様は自信の無い人じゃなかったわ！品があって、いつでも堂々としていて、私なんかよりずっとずっと強い人だったわ！！』
まふ「そう言ったんですか？」
『言ってないわ。ちょうど坂田がお菓子を持ってきてくれたの』
お菓子は美味しかったけど…。とA様が唇を尖らせる。
『彼奴、わかりやすく坂田に色目を使いやがったの！私の執事に！私の坂田に！！』
まふ「それは宜しくありませんね」
言葉遣いに乱れが生じているが注意しても無駄だろうと思い、あえてそのままにしておく。鬱憤は溜め込みすぎると毒にもなるし、構わないだろう。
しばらくお嬢様の愚痴に相槌をうっていると、彼女は先程とは打って変わって『そうだわっ』と明るい声になった。何かいい事＿＿ボク達にとっては悪いことを思いついたらしい。
『あの女はクビにしてやればいいのよ！それがいいわ！』
まふ「あ、あのぅ、お嬢様……それだと、その＿＿」
『なによ、お前もクビにするわよ？』
まふ「ぃ、いえ、なんでもありません」
それだと、また事情が変わってくるのですが。と宥めようとしたが、鋭い視線で睨まれたので口を閉じた。
ここは自分の身を守るためにも大人しく従っておくのが正解だ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 145人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「歌い手」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
Tomo(プロフ) - 月音さん» ありがとうございます！何か抱えてそうな雰囲気を感じ取ってもらえて嬉しいです〜！ (2022年4月24日 21時) (
レス) id: 90d619c3c8 (このIDを非表示/違反報告)
月音 - はぅ！めちゃくちゃ好み!ワガガマ具合とか、そんでもって、絶対何かを抱えてそうな雰囲気とか大好きです!更新楽しみに待ってますね!頑張ってください! (2022年4月24日 7時) (レス) @page17 id: 92b5bfb4f2 (このIDを非表示/違反報告)
しらたまさん - コメント返してくれてありがとうございます！出掛けてたからコメント返してくれてたの気づきませんでしたwすみません！これからも頑張ってください！ (2022年3月13日 16時) (レス) @page12 id: f9785f1ea6 (このIDを非表示/違反報告)
Tomo(プロフ) - しらたまさんさん» ありがとうございます！ (2022年3月13日 13時) (レス) id: 90d619c3c8 (このIDを非表示/違反報告)
しらたまさん - とっても面白いです！『志麻のことぶっちゃったぁ』ってうらたさんに泣きついているのがとっても可愛らしくて好きですwこれからも体調に気をつけて頑張ってください！ (2022年3月13日 0時) (レス) @page12 id: f9785f1ea6 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：Tomo | 作成日時：2022年1月14日 20時
