最高のプレゼントね ページ15
side:urt
麦穂が実り、遠くに見える山々が紅く色付く季節。
毎年、この時期はイベント続きで上機嫌なお嬢様だが、今日は特に機嫌がいい。
それもそのはず。
「「A様、お誕生日おめでとうございます」」
だって、今日はお嬢様の誕生日なのだから。
＊＊＊
いくら主の誕生日と言えど、執事の数が圧倒的に少ないテレジア家ではパーティを開くことは不可能に近い。
故に、庶民や貴族の方々が祝いの言葉を直接送りに来ることはないが、その代わりとでも言うように祝いの品が大量に届く。
今は、執事総出で贈り物の仕分けを行っている途中だ。
そらる「こっちはオパールのネックレスとイヤリング……っと」
まふ「わぁ…！ハニーベリーがいっぱい！」
センラ「ほんならまふくん、それキッチンまで持ってくから手伝ってや」
危険物が入っていた時のため、外部の者から送られてきた物には全て俺達が先に目を通すことになっている。
もちろん、お嬢様もそれは承知しているはずなのだが……。
『ねぇ、うらた。次はあれを開けてちょうだい』
なぜ彼女がここにいるんだろう。
うらた「A様、あちらでお待ちしていてほしいと伝えたはずですが…？」
『だって、皆が楽しそうにしているのに、一人で待ってるなんて寂しいじゃない』
暇なのよ、遊んでちょうだい。とお嬢様が駄々をこねるように唇を尖らせた。
うらた「ちょっかいをかけるなら坂田にしてくださいよ……」
『でも、坂田は……ほら』
彼女が指さす先を目で追うと、そこにはフラフラと覚束無い足取りで贈り物を運ぶ坂田の姿があった。
坂田「んしょ、…よい、しょっと……」
どうやら一気に運びきろうとしているようだが、あれは流石に持ちすぎだ。
落としてしまったら全てがパー。割れ物だったら最悪だ。
『ね？』
なぜか得意げな表情を浮かべるA様。
はぁ…。とどちらに向けたか分からないため息をこぼして、立ち上がる。
『ちょっと、どこへ行くのよ』
うらた「坂田を手伝って来ます。お嬢様も部屋へお戻りください……そろそろ勉強のお時間のはずです」
『え、嫌よ……今日は誕生日なのよ？』
うらた「きちんと勉学に励んでおかないと、立派なレディになれませんよ」
『別に＿＿』
うらた「それでは、失礼します」
『＿＿って、ちょっと！』
背後でお嬢様がなにか喚いているが、無視。
志麻「……うらた、機嫌悪いんですかねぇ…」
『知らないわよ』
2人が囁きあってるのも全部、無視だ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 145人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「歌い手」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
Tomo(プロフ) - 月音さん» ありがとうございます！何か抱えてそうな雰囲気を感じ取ってもらえて嬉しいです〜！ (2022年4月24日 21時) (
レス) id: 90d619c3c8 (このIDを非表示/違反報告)
月音 - はぅ！めちゃくちゃ好み!ワガガマ具合とか、そんでもって、絶対何かを抱えてそうな雰囲気とか大好きです!更新楽しみに待ってますね!頑張ってください! (2022年4月24日 7時) (レス) @page17 id: 92b5bfb4f2 (このIDを非表示/違反報告)
しらたまさん - コメント返してくれてありがとうございます！出掛けてたからコメント返してくれてたの気づきませんでしたwすみません！これからも頑張ってください！ (2022年3月13日 16時) (レス) @page12 id: f9785f1ea6 (このIDを非表示/違反報告)
Tomo(プロフ) - しらたまさんさん» ありがとうございます！ (2022年3月13日 13時) (レス) id: 90d619c3c8 (このIDを非表示/違反報告)
しらたまさん - とっても面白いです！『志麻のことぶっちゃったぁ』ってうらたさんに泣きついているのがとっても可愛らしくて好きですwこれからも体調に気をつけて頑張ってください！ (2022年3月13日 0時) (レス) @page12 id: f9785f1ea6 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：Tomo | 作成日時：2022年1月14日 20時
