○ ページ13
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志麻「お嬢様、よろしいでしょうか」
基本的に、屋敷内のどのドアも同じデザイン、同じ材質で作られている。
しかし、この扉の前に立つ時だけやたらと緊張してしまうのは、先にあるのが主人が眠る神聖な場所だからだろうか。
『……入って』
中から微かに聞こえた返事は普段のお嬢様からは想像のつかない、弱々しい声だった。
志麻「…失礼します」
緊張から汗ばんだ手でしっかりとドアノブを回し、一歩踏み出す。
我らが姫は、扉を開いた先にある天蓋付きの大きなベッドの中央で、毛布に包まるようにして寝転がっていた。
そっぽを向いて、入口のほうに目をくれる気配すらない。
本当は目を見て謝りたいところだが、無断で正面に立つと叱られてしまうため、仕方なくそのまま彼女の背中側に立つ。
志麻「A様、本日は申し訳ございませんでした。護衛であるにも関わらず、あのようなことを…」
『………』
志麻「それに、帰宅中は無礼な態度をとってしまったようで……」
『………』
何も、言って、くれない。
それほど怒っているのだろうか。
それとも、喋る価値すらないと判断されてしまったのか。
もしかして、失望された……？
志麻「…A、様、……」
心臓がバクバクと音を立て、嫌な汗が背筋をつたう。
どうしよう。
自分の軽率な行動のせいで、大切な人の信用を失って……もう二度と戻れなくなったら。
そうなったら＿＿
『＿＿ふふっ、ふ、ぁはははっ！！』
志麻「…………は？」
突如、俺に背を向けていたお嬢様が笑い始めた。
滅多にない大笑いだ。華奢な肩が震えている。
『はぁー、可笑しい…』
志麻「っ、何で笑って＿＿」
『別にいいのよ』
起き上がったお嬢様の人差し指が反論しようとする口を塞ぐ。
真っ直ぐな眼差しから逸らせない。
『あれくらいのこと、何ともないわ。だって、私は次期領主なのよ』
少し怖かったけどね。とお嬢様が笑った。
『それよりも、私は志麻が怒ってないかのほうが心配よ…叩いちゃってごめんなさい。痛かったでしょう？』
そっと優しく白魚のような手が頬に触れる。
急に添えられた体温に驚いたと同時に、安心を覚えた。
志麻「いえ…！大丈夫です」
『なら良かった』
ねぇ、志麻。と彼女が言葉を繋ぐ。
『お前は私の何なのか、言ってごらんなさい』
穏やかだが、威厳の溢れる笑顔だった。
志麻「俺は＿＿＿貴女だけの護衛です」
貴女の笑顔を守ります。
そう付け加えると、お嬢様は吹き出した。
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Tomo(プロフ) - 月音さん» ありがとうございます！何か抱えてそうな雰囲気を感じ取ってもらえて嬉しいです〜！ (2022年4月24日 21時) (
レス) id: 90d619c3c8 (このIDを非表示/違反報告)
月音 - はぅ！めちゃくちゃ好み!ワガガマ具合とか、そんでもって、絶対何かを抱えてそうな雰囲気とか大好きです!更新楽しみに待ってますね!頑張ってください! (2022年4月24日 7時) (レス) @page17 id: 92b5bfb4f2 (このIDを非表示/違反報告)
しらたまさん - コメント返してくれてありがとうございます！出掛けてたからコメント返してくれてたの気づきませんでしたwすみません！これからも頑張ってください！ (2022年3月13日 16時) (レス) @page12 id: f9785f1ea6 (このIDを非表示/違反報告)
Tomo(プロフ) - しらたまさんさん» ありがとうございます！ (2022年3月13日 13時) (レス) id: 90d619c3c8 (このIDを非表示/違反報告)
しらたまさん - とっても面白いです！『志麻のことぶっちゃったぁ』ってうらたさんに泣きついているのがとっても可愛らしくて好きですwこれからも体調に気をつけて頑張ってください！ (2022年3月13日 0時) (レス) @page12 id: f9785f1ea6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Tomo | 作成日時：2022年1月14日 20時
