こう見えても友達なんです。

08. ページ8

〆．



ぼんやり、ふわふわ。



形容の難しい感覚に陥りながら、視覚を頼りに水を求めキッチンへ……。



「水ならここやで〜」



「ん……ありがとぉ、大毅」



大毅………大毅？



あ、かみやママンとバイバイ……した記憶ないなぁ。酔いすぎた。



「こんなになるまで飲むなんか珍しいやん」



「……………っ、」



じわり、涙で視界が揺らぐ。



「……ダメ、だったの」



「ダメ？何がぁ」



大毅はソファーで隣に座り、私の顔を覗き込む。優しい顔。



「デザイン画………自信あったやつ。笹倉さんのが選ばれたの……」



「そっか」



「でも、私……知ってるの。なんで笹倉さんのが選ばれたか」



大毅に愚痴るなんて、どんだけダメージ受けたんだ。



普段なら笑い話で終わらせるのに。



「出来レースだったの………笹倉さん、その納品先の責任者の愛人だから…………」



「え、なんやそれ」



「カラダの関係なきゃダメなの……？私も所長とかと寝なきゃダメ……？」



至近距離で大毅と目が合う。



「………そんなん、せんでええ。絶対すんな」



大毅、なんでそんな低い声出すの？



「んん………私もしたくないもん。大毅としかしたくない……」



「あーほ。……俺もやし」



とりあえずもう寝ぇ、と抱き上げられ、ベッドまで運ばれる。



何も言わなくても着替えさせてくれて、「俺ももう寝るわ」と一緒に布団に入ってくれる。



「大毅……」



「ん？」



「…………んーん」



大毅の背中に腕を回すと、大毅も同じように力を込める。



「よしよし。俺は、何があってもAの味方や。ほんで、Aが一番」



「んふ、大毅ありがとう。大好き」



意識が遠のく。



根本的な解決はしてないんだけど、随分気が楽になった。



「……俺も、大好きやで」



大毅の甘い声とともに、眠りに落ちた。



〆．

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