第85話 ページ41
.
思いっきり頬を拳で殴ると、「ぐぁ…」と小さく吐き、ゾムの私を見る目がギラりと鋭く光る。唇からは赤い液体が流れ、さっきまでの余裕じみた面は消え、殺気に溢れている目を向けた。
「いって……」
一発殴ってみると少し怒りが収まった。
がしかし落ち着く間もなく反撃が飛んでくる。
ゾムの右拳を避けると、もう一方の左拳が腹をえぐって、締め付けられる苦しみから声が漏れた。そこでまた怒りが込み上げる。
くそっ…やったな…？
ならこっちもやるからな？
次の攻撃を避け、同じく横腹に右拳を入れる。
また小さく声を出すゾムは完全に私とやる目だった。
そうして互いに攻撃し合い、取っ組み合いをして数分、数秒。
「ちょ…！おいっ！何しとんねんっ！！」
丁度右腕を振りかぶった所、私の右手首、ゾムの両肩をトントンが逆方向に押しおさえつけた。
そしてゾムは殺気に満ちた目でこっちを見ながらシャオロンに両腕でホールドされる。私も後ろから腕を抑えられ動けなくなってしまった。
「お前ら何があったんや！」
「おい…離、せっ！…もう一発殴ってやる…！」
「シャオロン邪魔やっ！退けっ！俺は此奴に分からせなあかんねんっ！！」
捕まっているにも関わらずお互いを睨み付け、手を離したら今にも噛み付き合いそうなほど身を乗り出す。
「うるせぇっ！一旦2人とも落ち着けっ！！」
今までに聞いたことないトントンの声量に驚いて思わず腕を下ろす。
トントンお前…そんな声出たんだな…
もう一方も威勢が弱くなって風船のように萎んでいく。
「お互い殴ったってなんも解決せーへん！ええか？今から俺が見とるからしっかり話し合いで解決せえ」
まるで自分達の母親であるかのような言い草。
しかし嫌な感じはしない。
「話しても無駄や」
「此奴 IQ３」
「あーもう、そーいう態度があかんねん！寄り添え！ちゃんと寄り添って相手の話聞いたれ！分かった？」
まず何があったん、という問いに私もゾムも何も答えないでいるので、仕方なくシャオロンが喧嘩のきっかけとなった事件について話す。
「はぁ？しょーもなっ」
「ほんまに」
いや確かに改めて聞くとほんとしょーもないことで喧嘩してたなとは思うけど色々積み重なってこうなってるから。そして全ての原因はゾムにあるし。って言ってもあっちはこっちが全部悪いって言うだろうけどな。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 357人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
シロクマ苺スムージー(プロフ) - ほいさん» すみません確かにそうですよね…！でもこれから距離が縮まったら名前の方を呼ばれることの方が多くなるので期待してて下さいっ…！ (1月18日 6時) (
レス) @page39 id: 2e0196e099 (このIDを非表示/違反報告)
ほい - あの、申し訳ないんですが固定名が多くて、、もっと名前も使って欲しいです (1月17日 23時) (レス) id: 7356148585 (このIDを非表示/違反報告)
シロクマ苺スムージー(プロフ) - ピッピ168号さん» ありがとうございます！！わちゃわちゃした感じが皆好きだと思うので第３章でもたくさん入れていこうと思います！頑張ります…！ (12月30日 0時) (レス) id: 720823a63a (このIDを非表示/違反報告)
ピッピ168号 - rb…キスはあかん…。そして夢主ちゃんを全力で守ろうとするutknぎゃわいいいいい(やかましいわ)zmも照れてるかわいいマジ無理すきぃっ！！！ていうか皆かわいい！好き！更新頑張ってください！ (9月2日 14時) (レス) @page23 id: bae95beb1a (このIDを非表示/違反報告)
シロクマ苺スムージー(プロフ) - とぷすさん» ありがとうございますっ！！こういう世界観を好きになって下さる方が多くてとても嬉しいです…！頑張ります！ (8月11日 0時) (レス) id: 720823a63a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：シロクマ苺スムージー | 作成日時：2023年6月2日 23時
