3年前の喫煙ルーム ▼２【赤】

59.) 鮭 ページ10

ずるい、ずるい、ずるい









" 他の男いくんなら、俺にしとけ "









なんということを
言うんですか、あなたは









おかげで、心臓がドキドキ…



いやもう、ドキドキなんて

可愛いもんじゃないや









とてつもなく大きな音を立てて

心臓が爆発しちゃうんじゃないかってくらい









「ごっ、…ご飯食べる？」









とにかく話題を変えたくて

自分の気持ちも切り替えたくて









自分から聞いておいたくせに、




すばるくんの返事も聞かずに

キッチンへと向かった









ちょうど、さっき出来上がったばっかりの

料理をダイニングテーブルに運ぶ









この家の食事をする場所はここなんだと

今日の朝、学習したらしく







すばるくんも

定位置のソファを降りて、やって来た









そして



ダイニングテーブルの上を見て

表情を一気に曇らせた









『………嘘やろ』









ダイニングテーブルの上に並んでいる

本日の夜ご飯のメインは







鮭とキノコのクリームシチュー









すばるくんの顔が

ものすごく、引きつっている









あー、やっぱり

1日に２回も鮭って、きつかった？









「ごめん、スーパーで安かったから」


『ありえへん』


「え……、そんなに嫌？」


『嫌！！！ほんまに無理やねんけど…』









" うわー！もう嫌やーーー！！！ "

って、頭を抱えてる





いつのまにか

ダイニングテーブルから遠ざかってるし









あのー、そんなに嫌がることですか？



1日に２回、鮭を食べるくらいで…









確かに

鮭は同じだけどさ



全然メニューは違うじゃん！！！









というか、

まさか今日来るなんて
夢にも思ってなかったんだから



仕方ないだろうが！！！！！！！









一応、謝ってあげたっていうのに

なんだよ、その態度






文句があるなら、食べるな！！！！！









………鮭が嫌いって訳じゃないでしょ？

朝は普通に食べてたもんね








たかだか、朝も夜も鮭を食べるだけで



こんなに文句を言われるとは

こんなに嫌がられるとは、思いませんでした





.

60.) キノコ→←58.) 困る

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す