大倉との腐れ縁【緑】

☆.9 ページ9

『ちゃんと、夢叶えてんもんなぁ』


「………」


『すごいなぁ』









大倉に見向きもせずに

ハサミで画用紙を切ってた手を止めて





ちらっと、隣を見ると









んふふ、って

ふにゃあ〜っと


だらしなく笑ってる









目尻にシワが寄って

くしゃって、笑う顔









全然、変わらない









「急に、なに？どうしたの？」


『え〜？』


「褒めても何も出ませんけど」


『………ふふっ』


「なに？」


『素直に嬉しいって、言うたらええのに』









" 明日、早いから先に寝るわー "


缶ビールを飲み干して

大倉は、寝室に行ってしまった









「………素直になれたら、苦労しないわ」









ボソッと呟いた言葉が

あいつに届くことは、ない









それから、１時間くらい経って

寝室に向かうと









『………………』









私のベットで、爆睡してる









でも、ちゃんと

左側はあけてくれていて









ほんと、いつまで続くんだろ


いつまで、いてくれるんだろ









今まで通り


の、期限はいつまでですか？









ちょっと腹が立って

寝てる大倉のおでこを、ぺしっとたたいた









『………んー……』




それくらいで、こいつが起きるはずもなく

そのまま左側にもぐりこんだ









30歳の良い大人の男女が

せまいシングルベッドで一緒に寝てて






何一つ、起こりもしない









それでこそ、私と大倉




……言ってて、虚しいけど









いつもは、

大倉に背中を向けて寝るけど









なんとなく、今日は

大倉の方を向いて寝転んだ





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