Re:start ページ50
＊
あの部屋を解約して1週間
本日から僕は組対部で初仕事に取り掛かることになる。
といっても今日は、昨日
だのに
「来ない…」
待ち合わせ時間になっても連絡ひとつ寄越さず、一向に警察庁に姿を表さない。
…もう10分は過ぎている。
これで開口一番「日本人は時間に厳しすぎるネ」的なことを口にされようものなら、ブチ切れない自信はない
暫くして、外国人風の2人…初老の女性と青年男性がこちらへ駆けてくる。
女は茶髪に碧眼
男は黒髪に黒い瞳…少々アジア的な顔付きだな
「
私はレミリア・ラディーチェ
こちらルカ・モンタルバーノ
…1名は後で到着します」
豪に入ればで軽く頭を下げる2人に、こちらも挨拶を口にして会釈する。
「それで、あとの方は何時頃到着で？」
「ああ…実はその、とても遅れていて…
30分はかかるかと」
初日から大遅刻だなおい
額に青筋が浮かびそうになるが、決まりが悪そうに謝るラディーチェ捜査官の手前
「…分かりました。ではお二人で出来ることを先に済ませてしまいましょう」
感情を抑えて笑顔で対応した。
·
30分を優に過ぎた頃
受付から客人が来たとの連絡を受けた
ひとまずそのまま組対部に来てもらうよう指示し、内線を切る。
漸くご到着か…
先に着いていた2人は既にほとんどの手続きを終えたが、僕は彼らにした説明を今から来る捜査官にまた一からしなければならない訳だ。
営業スマイルで出迎えて、嫌味を沢山浴びせかけてやろう
そう思い、エレベーター前で遅刻魔の登場を待ち構えた。
下から上がってきた鉄の箱が止まり
音が鳴って、扉が開く
「！」
途端、目を見張った。
思わず貼り付けた笑顔が剥がれる。
降りてきたその女性は口角を上げて、固まる僕に向き直った。
濡れ羽の髪は肩口で切り揃えられ、右腕の肘より下は包帯で幾重にも巻かれ三角巾で吊られていたが、
空を閉じ込めた目は
真っ白な肌は
見紛うことなく…
「お久しぶりです、元気してました？降谷捜査官」
僕が余程の間抜け面をしていたのか、彼女はくすりと笑って続けた。
子供のように笑う彼女とは違う、仮面のような微笑み
「自己紹介がまだでしたね
A・ラディーチェ
半年前まで組織に潜入していました、AISE所属の捜査官です。」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 52人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：とみーさん | 作成日時：2020年9月4日 2時
