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一緒に組んで数回目の任務で、事件は起きた。
幸運にも僕は彼女に気に入られたようで
初めて組んで以来、彼女はラム経由で僕を指名しているらしい。(ベルモットが教えてくれた)
…ジンは気に入らなさそうにしているが。
そんなこんなで、その日も彼女を助手席に乗せて仕事に向かった。
「取締役の経費着服の証拠を盗ってくるの？」
群青のパーティドレスを纏い、夜の街を眺める横顔
「ええ。貴女がターゲットを足止めしている間に、僕が取締役室のデータを盗って来ます。
終わったらここに集合です。」
「了解」
妖艶に笑う彼女を
駐車場の端から監視カメラの死角を通り、パーティ会場に送り出した。
·
作戦終了後
車内で彼女を待っていると、予想より遅く戻ってきた。
薄暗い地下の駐車場で顔色は分からないが、少々足元が覚束無いのが気になる。
「お疲れ様です」
「ん」
「体調、優れませんか？」
「んーん」
僕から頑なに顔を背ける彼女は、肩を上下させて荒い呼吸を繰り返す。
「杯戸ホテル
下ろしたら、っすぐ…帰って」
「…分かりました」
エンジンを掛けて車を発進させる…
「ぁ！」
フリをして強引に彼女の体をこちらに向けた。
上気した頬に潤む瞳
触れたときの反応で何となく察した。
「あの、おじさんに…くすり、盛られて…いつも、気付く、のに…」
「…」
「だから、下ろして…すぐ帰って、ね？」
「ええ」
気まずそうな彼女を横目にアクセルを踏む。
機会だと思った。
ジンは僕と彼女が組むことには不服
ラムの指令とは言ってもそろそろケチをつけ始めそうだ。
だが、組織の中枢に近い彼女を逃す訳には行かない。
一緒に過ごしていて、案外そういう経験は浅いらしいことはわかっていた。
既成事実を作ってしまえば彼女は僕から離れられないし、彼女と良くしておけばジンも俺を容易には殺せない。
ハニートラップ、というやつだ。
目的地で助手席のドアを開け、チェックインを手伝って部屋まで連れていった。
「ごめ…ありがと」
閉まるドアに足を挟む。
僕の唐突な行動に驚いて固まったままの彼女を他所に部屋に上がり込んだ。
「な、にして」
「…僕も男ですよ
「っ…」
空色が零れ落ちそうなほど見開かれた。
「…サラ」
ぱたり
扉が閉まって
夜に溶ける
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作者名：とみーさん | 作成日時：2020年9月4日 2時
