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…何も全てが嘘だとは思わない。
巧妙な嘘というのはたいてい、虚偽と事実を半々に混ぜて作られる。
ベルモットが今回吐いた嘘も、恐らくその類のもの。
CIAの捜査員が予期した以上に執念深かったこと、
お気に入りの場所がバレたこと、
どちらかは
またはその両方が、事実だとしても
この女が日本から
俺の前に姿を現さざるを得なくなった理由が、
きっとそこにあるに違いない。
·
暫くの静寂のあと、「ふふっ」と笑い声を零したのはベルモットの方だった。
その笑い方が、
手の甲を口元にあてがう仕草が、
何故か一瞬
記憶の中の彼女と重なった。
「貴方、素もソレなのね」
「…質問に答えろ」
「ふ、あはははっ！」
1歩、1歩
銃口に近づく。
その足取りに、躊躇や恐怖といった感情は感じられない。
「一つ一つ…
集めた証拠を突きつけて真実を暴く…
根底にあるのは損得勘定や利害関係ではなく、ただの純粋な探究心と好奇心…
ホント小さな子供みたい」
軽いのに、どこか荘厳な、見透かしているような笑みを連れて
1歩、1歩…
「動くな！」
「やーね、怒らないでちょうだい」
痺れを切らしてガチャリと拳銃を構え直す
それでもベルモットは歩みを止めない。
「これでも感心してるのよ？」
クスリと笑みを深くする。
「
銃口の前まで来て、歩みが止まる。
白魚のような手が銃身を握って、
それを自らの心臓へと導く
まるで撃てば？と挑発されてるみたいだ。
「ご褒美にヒントを教えてあげるわ」
小さな子供に語りかけるような優しい声色に、息を飲んだ。
「A secret makes a woman woman......
貴方の前では特に…
美しいところだけ、貴方に見てもらいたかったのね」
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作者名：とみーさん | 作成日時：2020年9月4日 2時
