【H×H】クロロに愛されるだけ【短編集】 (ページ33)

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「それがどうかした?」
『うーん、大したことでも無いんですけど』

順々に駒を動かす。あ、もうちょいだったのに逃げられた。

『近々ジャポン美術館で、有名な絵画である《ノルの瞳》がお披露目されるじゃないですか』
「そうだね」
『あれ、見に行きたいんです』

あ、今度は私が追い詰められた。うん、ここはクイーンかな。

『先生、チケット持ってそうじゃないですか』
「持ってたら、どうする?」

持ってると見ていい、かな?

『チケットくれたら、宝までご案内します』
「…へぇ、隠し場所知ってるんだ?」

なんか部屋の空気が急に寒くなった。イケメン怖い。
いや、負ける訳にはいかない!!私は絵画が見たい!!

『知ってますし、なんなら鍵を開けれるのも私だけです』
「…なるほど」

えっ、先生黙り込んじゃったどうしよ
空気だけが重くなってくんですけど!!
チェス盤の上の駒だけが動く。

私そろそろ涙目である。こういう怖い雰囲気は苦手なんだよー!!

『先生ほんっっっとにお願いします…!!どうしても見たいんです〜!!本物が!!ジャポンに来るのに!!』
「いいよ」
『いいの!?』

今私の目は今世紀最大に輝いてる自信ある。

「一緒に行こうか」
『…え』

＿＿＿＿
『なんでこうなった』

ハテナマーク飛ばしまくりである。
まさか先生と一緒に来ることになるとは思わないじゃん?来ちゃったけど!

「私服も似合ってる。可愛いよ」
『へ!?あ、う…先生もかっこいいです…』
「ありがとう。でも今日は先生じゃなくて名前で呼んで?」
『ｱｯハイ』

ほんま恐ろしいイケメンやな!!
キラキラしてるこわいかっこいいしんどい。

今日はプライベートなので先生呼びはやめろとのこと。そうだよな、先生と生徒の関係がバレちゃお縄だもんな。

…じゃあなんて呼べば!?
クロロ?呼び捨ては流石に!
クロロさん?無難だけど違和感でかい!!
ルシルフルさん?噛むわ!!!

…呼ばない道を選ぶぜ。

「中、入ろうか」
『はい!』

念願の絵画が見れる!!楽しみだなぁ!!
わくわく。

・

・

・

ずーん…

「えっと、A?」

大丈夫?と先生に心配そうに聞かれたけど大丈夫じゃなかった。
確かに私達は目玉である《ノルの瞳》を見れた。
でも、でも!

『本物が見れるって、思ったのに…』
「それってつまり…」

ﾌﾟﾙﾙﾙ…ﾌﾟﾙﾙﾙ…

先生から電話の音がした。

「ごめん、少し出るね。此処で待ってて」
『あ、はい』

設置されていた長椅子に腰をかけた。