【H×H】クロロに愛されるだけ【短編集】 (ページ24)

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彼女の扱い方ページ24

「なぁ、それ、離さないか?」
『ん〜?』

腕の中のぬいぐるみを指差して言えば、Aは眠たそうにこちらを向いた。

「寝る時ぐらい、離してくれないか」
『う〜』

まるで聞いていない。
はぁ、と溜息を吐いた。

彼女であるAは大のぬいぐるみ好きだ。
それはいい。可愛いとも思う。
ただ、その依存度が異常だ。

ご飯を食べる時も、着替える時も、戦う時も、歩く時はもちろん。
一緒に寝る時も、デートの時も、ぬいぐるみを肌身離さない。

いつも仕方なく、ぬいぐるみを抱いて寝るAを後ろから抱いて寝ているが...

何とかならないものか。
つぶらな瞳を持ったふわふわの白兎を恨めしく思いつつ、眠りに落ちた。

_____
「いい加減そのぬいぐるみを離せ」
『えぇ〜!』
「いつもそいつに邪魔をされる俺の気持ちにもなってみろ」

翌朝。
起きてみれば、ずっとぬいぐるみを抱いたままのAの姿。
少し腹が立ってきたのもあり、説得することにした。

「まずは1日でいい。今日はそれは持たないくれ」
『う...分かったよ』

Aは渋々頷いた。

「まさかこうなるとは思わなかったな」

Aが抱き着いて離れない。

『私何かに抱き着いてないと落ち着かなくて』
「今までのぬいぐるみもそういうことか」

これでは仕事がやりにくいな...。
いやしかし、嬉しさが勝つ。

『これ、大丈夫?』
「あぁ、そのままでいい」
『そ、そっか』

少し顔を赤らめて、申し訳なさそうにするAは、なんというべきか...破壊力がすごい。

『クロロ、落ち着く〜』
「そうか」

すりすり擦り寄ってくる様子は猫のよう。
いつもあのぬいぐるみはこれを味わっていたのかと思うと羨ましい。

『迷惑かけないようにね、ぬいぐるみを抱いてたんだけど』
「あぁ」
『戻れなくなりそう...』

戻らなくていい、と思う反面、これが毎日続くのは心臓が持たない。
はぁあ、と色んな意味を込めて、また溜息を吐いた。

その日から、Aはぬいぐるみでは我慢出来なくなって、クロロに抱き着いて離れなくなったとか。

クロロの悩みは尽きない。