【H×H】クロロに愛されるだけ【短編集】 (ページ17)

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アイドルグループ、幻影旅団。
そのリーダーを務める俺だが、最近暇を持て余していた。
いや、忙しいのは忙しいが、精神的に暇だ。

何か楽しいことは無いだろうかと。
少し刺激が欲しくて、あるオーディションの審査員を行なった。

が、期待はずれ。
3万を超える人の中から選び出した30人らしいが、このレベル。

「〜♪」
違う。

「う、うぅ...死なないで...!」
違う。

「そ、そんな...」
違う。

何奴も此奴も、ここにカラオケにでも来てるのか。
演技に関しては同じ顔ばかり。

失敗だ。来なければ良かった。
こいつらを最終審査まで通したこの事務所も大概だな。

次、23番。
こちらを見て驚いたようだが、動揺はすぐに無くす。
これは期待できるか?

一つ目の審査、歌。
歌い始めの一文字を聞いて気づく。
こいつは他の奴とは違う。
まるで聞き手を引き込むかのような、魅了していく歌声。

無意識のうちに口角が上がった。

二つ目の審査、演技。
23番はスゥ、と息を深く吸って、目を開けばそこにはもう悲しみの目。
ゾクリ、と刺すような顫動が背中を駆け上がる。

『いつもみたいに笑ってよ...!!』
「もういい、十分だ」

本当にそこに、死んでいる恋人がいるかのよう。
前言撤回だ、来て正解だった。

『ぁ、演技だった』

欲しい。あぁ、欲しい。
未熟な部分もあるが、まだまだ伸びる。

その為には何としてでも、幻影旅団に入れる。

「4番はどうでしたかね」
「演技はいいけど歌が...」
「12番は?」
「いいと思います」

審査員が話し合う。
俺はこの中でマシな奴らだけ選び。

「で、まぁなんといっても23番だよね」
「ですよね、今回の中で1番異様でしたし」
「あぁ、その事なんですが」

23番は落とす。
一応俺もスターだ。ここにいる審査員全員、俺に逆らえない。
まぁ、悪かったな。ただ、こんな所でAを腐らせる訳にはいかない。

_____
そうして、目当てのAに接触を成功。

『ふかふかだ...!!』

目を輝かせるAは少し可愛い。
審査の時はもっと無表情だった気がする。

「どう?幻影旅団。悪くは無いと思うけど」
『か、考えさせてください...』

頭がパンクする!といった顔。
考える時間はあげよう。
まぁ、どんな返事をしようと未来は変わらないけど。