【H×H】クロロに愛されるだけ【短編集】 (ページ15)

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一人の少女がスターになる話ページ15

芸能パロ
少しだけアクタージュ、という漫画を真似ています。

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私は子供の頃から、ずっと芸能界に憧れていた。
人々を楽しませる。そんな素敵なことはないだろうと。

だから私は今、
人生最大イベント、オーディションを受けていた。

「23番。こちらへ」
『はい』

何万の人を蹴落として、最終審査まで来た。

最終審査は1人ずつ呼ばれ、歌い、演じる形式。

連れてこられた部屋に入り、見渡す。
思わず目を見開いた。

審査員は5人。
その中に、クロロ=ルシルフル___世界の頂点に立つアイドルグループ、幻影旅団(クモ)のリーダーがいたのだ。

幻影旅団。
アイドル活動、俳優女優、モデル、声優。
全てにおいて頂点。
芸能界では誰もが憧れる存在。

そんな人がどうしてこんなところにいるのだろう。

『23番。Aです』
「はい、まず課題曲を歌ってください。」

課題曲は、少しアップテンポな曲。

聞き手を如何に引き込むか。
18年間研究し続けてきたことを活かす。

「はい、ありがとうございました。次の演技、課題は《大好きな恋人の死体が目の前にある》です」
『分かりました』

深く息を吸って。

その瞬間、私は私ではなくなる。

『ぁああぁぁ...!!』

まさに絶望だった。涙が零れるのも気付かず、足の力が抜けて、へたり込んだ。

『ぁ、あ...はは、そうだ。嘘、嘘だ。きっと夢かなにかで...!!』

そう、これは嘘。
だから早く起き上がって。頼むから、死んだなんて言わないで。

『ねぇ、起きてよ...いつもみたいに笑ってよ...!!』

「もういい、十分だ」

審査員であるクロロさんに声をかけられ、頭がスゥーと冷えていく。

『ぁ、これ演技だった』
「えっ?」
『いえ、なんでもないです』

頬を伝う涙を拭いて、立ち上がった。

「合格発表は〜〜に。では、そちらのドアからどうぞ」
『はい』

どうだったかな。自信はあるんだけどな。

_____
「はぁ!?落ちた!?お前が!?」
『うん...』

一緒の高校に通っている友人に結果を伝えた。
そう、結果は不合格だった。

「お前以上の名女優兼歌手見たことねぇんだけど」
『嬉しい』

そう言ってもらえるとやっぱり嬉しいもので。
でも、そっかぁ。落ちたかぁ...。

「ま、まぁそんな落ち込まなくても、お前なら他のオーディションで受かるって!!」
『うん...そう信じとく...』

でもやっぱり溜息は止まらなかった。