【H×H】クロロに愛されるだけ【短編集】 (ページ2)

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いいことがあるもんだページ2

『今日も会社...だりぃなクソッタレ』
通常通り運行をしているこの電車を見てポツリと言った。

会社に入って一年目。まだ新人とも言える私。
初日は楽しみで仕方なかったのに、今ではもうやる気もクソもない。

目の前のドアが、ガタン、と音を鳴らして開き、大量に人が乗り込む。私はその大群の流れに身を任せた。
車内でギュウギュウ詰めになって職場に向かうのが私の日常。

しかし、いつもと違う点が一つ。
私の腰やお尻にサワサワと触られている感覚。

まさか痴漢?そう思ったが、思い直した。
まぁこんな満員電車だし、鞄か何か当たってるんだろ

とか最初は思ってましたよ、えぇ。

『〜っ!クソ』

明らかに、手で触られている。

誰だよ、殴ってやる!!そう思っても、この人混みで身動き一つ取れなかった。

我慢か、そう諦めた時だった。

「大丈夫?気分が悪いの?」

そう、後ろにいたイケメンの青年に、小さく声をかけられた。

『ぁ、いや、大丈夫です』
まさか痴漢にあってます、だなんて言えない。
このキラキラしてるイケメンには言えない!!

そうこう思っている内に、
電車が一度駅で止まった。

「この人、痴漢です!!」
「お、俺じゃない!」

さっきの青年が、1人のおっさんの腕を掴んで叫んだ。
まさか、気づいてくれたのか。なんというイケメンだ。

その痴漢男は、俺はやってない!と言いながら警察に連れていかれた。

「大丈夫でした?早めに気づいてあげられなくてすみません」
『えっ、いえ!!そんな、本当に助かりました』

電車を降りて、さっきの青年に礼を言った。
青年はクロロというらしい。あと意外なことに年が上だった。童顔だ。

その後は連絡先も交換して別れた。
まさかこんなイケメンとお近づきになれるとは。
出社もいいことがあるもんだ。

小さくガッツポーズした。

_____
「あーあっぶね、手が出てしまった」

Aに少しでも近づきたい。そう思って後ろにいたらつい、ね。
あのおっさんには悪いことをした。

でもあの行動のお陰で連絡先も交換したし、後悔も反省もする理由なんてないな。

キラキラしているイケメンな青年。
彼女はその本性をまだしらない。